富士登山に挑戦する前に、富士登山における高山病の発症率、発症しやすい高山病の症状、発症を防ぐ予防対策、高山病を発症すると自身がどのようになりグループメンバーにどのような影響を与えるか、発症してしまった時の対処法など、事前に知識をつけておきたいものです。
なぜなら、富士登山での高山病の発症率は非常に高いからです。
これほど高山病が身近な存在なのは日本国内の登山においては富士山ぐらいかもしれません。
目次
最初にまとめ
この高山病に関する記事は長いので、取り急ぎ確認したい方のために、最初に発症率と原因、予防法を掲載します。
発症率と原因
- 富士山登山者の49%は頭痛などの高山病にかかったと回答
- はじめての登山者は高山病になりやすい
- マイカーの人は高山病になりやすい
- 3人以上のグループは高山病になりやすい
- 3大傷病は高山病と外傷と低体温症
- 富士山八合目の診療所の受診者の約7割が「高山病」
- 20代から30代の受診者が目立つ。体力があるので無理しがちが原因。
- 準備不足が原因。山の天気は急変するので雨具(レインウェア)は必需品
- 子どもは5割以上の確率で高山病に
- 5歳~12歳の子ども245人のうち、134人に頭痛や吐き気など
予防法
- ゆっくり登る・・・酸欠になるのを防ぎ、体を徐々に高度順応させる
- 呼吸を深くする・・・酸欠になるのを防ぐ
- 水分をたくさん取る・・・脱水症状を防ぐ
- 睡眠をしっかりとる・・・弱った体で登らない
- 体を冷やさない・・・冷えると血液中の酸素の有効活用が、できなくなってしまう
上記内容の詳細は、以下に掲載しています。
富士登山における高山病の発症率
富士登山における高山病の発症率については、様々な団体が統計をとっており、ニュースとして報道されています。
登山者の49%が高山病にかかっていた(吉田口環境保全推進協議会)
2012年11月29日のニュース記事です。
上記ニュースを簡単にまとめると、次のようになります。
- 富士山登山者の49%は頭痛などの高山病にかかったと回答
- はじめての登山者は高山病になりやすい
- マイカーの人は高山病になりやすい
- 3人以上のグループは高山病になりやすい
診療所の受診者の約7割が「高山病」(富士山診療所)
富士山富士宮口8合目には夏の限られた期間だけ夏期臨時診療所「富士山衛生センター」が運営されています。
その診療所の受診者の約7割が高山病という現実があります。
上記ニュースを簡単にまとめると、次のようになります。
- 富士山診療所の3大傷病は高山病と外傷と低体温症
- 受診者の約7割が高山病。
- 20代から30代の受診者が目立つ。体力があるので無理しがちが原因。
- 準備不足が原因。山の天気は急変するので雨具(レインウェア)は必需品
富士山に登った子どもの5割超「急性高山病」に(日本旅行医学会)
2014/06/19にANNニュースで発表された内容です。
小学生の場合は、(大人と比べて)高山病の発症率が高いようです。
- 5歳~12歳の子ども245人のうち、134人に頭痛や吐き気などの急性高山病の症状みられる
- 症状が出た場合は登山をやめる
夏の富士登山では、多数の子連れファミリーいますが、注意しましょう。
実際の体験談など
私の富士登山における実際の体験談等を統計を書きましましょう。
- 2007年8月 4名中2名が高山病を発症(2名とも頭痛)
- 2008年8月 4名中2名が高山病を発症(1名は寒気、1名は動けないほどの激しい頭痛)
- 2009年8月 2名とも特になし
- 2010年8月 2名とも特になし
- 2011年8月 7名とも特になし(このときは十分に予防対策を行っていた)
(因みに、2010年は登山上級者と私の2人なので、あまり統計値として参考にならないかもしれません。)
以下、私の個人的な経験の詳細と富士山の7合目の山小屋で働いていた山仲間の話です。
◎ケース1 登山中に頭痛発症。唇は真っ青。
いまも忘れられない2008年の富士登山。
仲間1人が8合目付近で「頭がいたい・・・」と言い出しました。
高山病を発症してしまったよう。
その症状は登るにつれてひどくなり、唇は真っ青、体は震えていました。
登るスピードもガクンと落ちてしまった。
私はその友人の面倒を見て、残りの仲間は先に進むことに。。。
高山病を発症した友人の症状は、まるでインフルエンザにでもかかったかのように重症。
このまま生きて帰還できるのかと本気で思いました。
◎ケース2 下山途中に激しい頭痛!
ケース1の仲間が「登頂したい」というので、何とか登頂。
その後下山し、勢いよく下っていたら別の友人が「あたまが割れそうだ・・・」といい始めた。
高山病を発症したよう。
私を含めた4人のうち2人が高山病になってしまった。
しかも、その友人の頭痛はひどいらしく、まったく動けなくなってしまった。
いつも明るい友人から完全に笑顔が消えて、とても苦しい表情に。
励まそうと、私が冗談を言ったら
「俺そんなに余裕ないから。」
と真顔で返される始末。
頭が割れそうなほど激しい頭痛で倒れる友人(手前)。奥の人は元気。
横になって休んでいても、友人の高山病はまったく改善しない様子。
ずっと留まっていてもどうしようもないので、なんとか動いてもらう。
吉田口(河口湖口)の下山道はジグザグに折り返しているのだが、その折り返し地点で毎度小休憩しながら下山した。
◎ケース3 ご飯食べてその場で嘔吐
富士山の7合目の山小屋で働いたことのある友人の話。
「山小屋の中で登山者がご飯を食べていると、そのまま嘔吐してしまう人が結構いるんだよね。
口に食べ物入れて、その場でゲーッてね。
もう、あんなふうになったら、たぶん下山したほうがいいんだけど。」
いろんな意味で高山病はつらい!
私は今までに何度も富士山に登っていますし、アルプスなど3000m級の山々を何度も登っていますが、ほとんど高山病を発症したことがありません。
それは、3000m級で高山病を発症しにくい体質ということと、自分自身も様々な予防策を実践しているからです。
そのため、どちらかというと高山病を発症した友人を看病することが多いのですが、その友人を見ていて
本当につらそう・・・と心底思うのです。
まず第一に、その状況がつらいです。
例えば、仲間と富士山を登って8合目で激しい頭痛になったとします。
「ううう、頭が激しく痛い。割れそうだ・・・」
となったとします。
どうします?
登りますか?下山しますか?
どちらを選んでも、数時間はその激しい痛みに耐えなければなりません。
そのため、行動スピードがガクンと落ちて、ゆっくりとしか動けません。
しかも、富士登山となると、前々から仲間と計画して、登山装備を買って、登頂目指してきているのですから、心情も複雑です。
--------
予防は治療に勝る
--------
という格言にあるように、高山病とは何かを知り、事前に予防するとが肝心です。
高山病とその症状
高山病とは?
そもそも高山病とはいったい何なのでしょうか?
高山病とは、標高が高くなるにつれて気圧が低くなり、それに伴って空気中の酸素が少なくなり体の各組織で酸素が欠乏状態になったり、気圧の低下に乾燥して体の水分が欠乏することが原因で発症する症状です。
富士山のように標高が高いところへ行くと発症しやすいです。
エベレストなど、海外の高山を登ると多くの人が大なり小なり高山病を発症します。
高山病の症状
高山病の症状は、頭痛、嘔吐、呼吸困難などです。(特異な症状ですが「私は富士山に登ると毎度、視野狭窄(視野が狭く)になる」という方の話も直接伺ったこともあります。)
富士登山で良く耳にする症状は頭痛、嘔吐です。
症状の重さは、人によってさまざまで、ちょっと頭が痛いレベルの人から、頭が割れるほどの激しい頭痛で動けなくなる人もいました。
高山病になりやすい人
数年にわたって山仲間やガイドさんから高山病に関する話を聞いてきた結果、高山病になりやすい人がいることがわかってきました。
- 普段まったく運動しない人・・・心配機能が鍛えられていないため、高山病になりやすい。
- 肺活量が少ない人・・・私の友人がそうなのですが、酸素を取り入れる能力が低いためなりやすいかもしれません。
- そもそも高山病体質の人・・・たとえば、2000m級の登山で高山病になる人は、富士登山でもなる可能性が高いでしょう。もちろん、過去に高山に登ったことがない人はわかりません。
- 偏頭痛もちの人・・・普段から頭痛がある人は、高山病になりやすいと富士山のガイドさんが言っていました。
以上の項目に当てはまる人は、要注意です。意識的に予防対策を実践することをおすすめします。
高山病の予防方法
実際問題として、高山病になると自分自身がつらいですし、場合によっては一緒に行動している仲間にも負担をかけてしまいます。
登り途中で発症してしまうと、さらに登ると悪化することはあっても、回復する例は稀です。(下山時の発症であれば、そのまま下山するのみ)
だからこそ発症しないように、予防することが大切です。
私自身も可能な限り実践している、登山前の予防方法、登山前日の予防方法、登山中の予防方法を掲載します。
登山前(数ヶ月~数日前)の予防方法
登山予定日の数ヶ月~数日前は、登山に耐えうる体づくりに当てられます。
日頃から運動をあまりしない方は、最寄りの山に何度も登ってみることをおすすめします。
例えば、
- 最寄りの低山(1000m級)の短いルート(1~3時間)を登る
- 徐々に長いルート(3時間以上)を登る
- 最寄りの標高の高い山(2000m級)の長いルート(3時間以上)を登る
というように、無理のない範囲内で徐々にステップアップしていきます。
これは体づくりの側面だけでなく、新しく購入した登山装備(特に登山靴)に慣れておく効果もあります。
普段からスポーツ(マラソンなど)をされているのでしたら、事前に1度山に登っておく程度でも大丈夫かもしれません。
ただし、登山は負荷が高いため、富士登山予定日の4日前ぐらいからは、控えるのがよいでしょう。
登山前(前日)の予防方法
登山前日は運動を控え、活力をたくわえる時期です。
大切なのは、しっかり休息&睡眠をとることです。
登山当日はいつもより起床時間が早い方も多いと思いますので、就寝時間も早めにします。
また、この内容はマイカーで車中泊装備、しっかりと寝れる環境が揃っている方向けの内容ですが、前日の夜には富士山の麓に着て車中泊するのもおすすめです。
- 富士宮ルートを登るのであれば、水ヶ塚駐車場(標高1448m、トイレあり、駐車有料)で車中泊
- 御殿場ルートを登るのであれば、御殿場口登山道新五合目の駐車場(標高1440m、トイレあり、駐車無料)で車中泊
が可能です。事前に標高の高い場所で宿泊することで、高度順応し、高山病の発症しにくくすることができます。
ただし、不慣れな方がするとかえって寝不足になりかねないため、車の座席がフラットになる、寝袋等がある、マットもある、車中泊に慣れているという条件が揃っている方向けになります。
登山中の予防方法
高山病は
- 体の各組織で酸素が欠乏状態
- 気圧の低下により乾燥して体の水分が欠乏
することが主な原因ですから
- ゆっくり登る・・・酸欠になるのを防ぎ、体を徐々に高度順応させる
- 呼吸を深くする・・・酸欠になるのを防ぐ
- 水分をたくさん取る・・・脱水症状を防ぐ
- 体を冷やさない・・・冷えると血液中の酸素の有効活用が、できなくなってしまう
の以上のことを肝に銘じて、行動すると良いでしょう。
逆に言うと、普段と同じ行動では良くないということです。
意識的に、酸欠や水分不足にならないように注意することが非常に重要です。
高山病を発症した場合の対処方法
富士登山では、発症率の高さゆえ、グループの誰かが発症してしまうケースも多々あります。
一口に高山病といっても、少し頭が痛いな~程度から、身動きが取れなくなる程度まで様々で、その状況に合わせて対処することが大切です。
以下、高山病を発症したときの基本指針、救護所の情報、登り途中で発症した場合、下り途中で発症した場合、メンバーとのやり取り、高山病から回復まで時間について記載します。
高山病を発症したときの基本指針
高山病には
----------------
標高を上げると悪化し、下げると治る
----------------
という特徴があります。
登山途中に、ひどい症状が出た場合は、下山することをおすすめします。
そのまま登ると、症状は悪化していきます。
実際に、富士山の救護所に担ぎこまれた高山病患者は、酸素吸入をして症状が改善したあとは下山します。
救護所に駆け込む
富士山の登山者の多いルートである吉田ルートの登りルート、富士宮ルートには救護所があり、緊急時はそこで応急処置を受けることができます。(須走ルート、御殿場ルートには救護所はありません)
高山病や体調不良、転倒時の怪我など、もしもの事態にも対応してもらえます。
- 吉田ルート(登りルート) 七合目救護所(標高2790m、山小屋「鎌岩館」下):夏山シーズン中の一部期間開設、診療費無料、医師が24時間常駐
- 吉田ルート(登りルート) 八合目救護所(標高3100m、山小屋「太子館」に併設):夏山シーズン中の一部期間開設、診療費無料、医師が24時間常駐
- 富士宮ルート 八合目 富士山衛生センター(標高3250m、山小屋「池田館」に併設):夏山シーズン中の一部期間開設、診療費無料、医師が24時間常駐
開設期間がどの救護所も7月下旬~8月下旬となっています。それ以外の山開き期間は閉まっていますので、ご注意ください。
登り途中で発症した場合
登り途中で発症した場合、水分不足が原因かもしれないため、まず水分補給します。(ミネラルウォーターなど)
しばらく足を停めて休憩して、回復の兆しがなかったら ”登るか or 降りるか” のどちらかを選択せねばなりません。
標高を上げると症状は悪化していきますので、それを覚悟して登るか、諦めて降りるかのどちらかになります。
単独登山の場合、その判断は自己判断&自己責任になります。
グループ登山の場合は、例えば4人で登っていて八合目で1人が高山病で動けなくなった場合、
- 高山病1名八合目から下山、残り3名はそのまま山頂へ。最終的に登山口で合流。
- 高山病1名にサポート1名付いて八合目から下山、残り2名はそのまま山頂へ。最終的に登山口で合流。
など、高山病の症状や程度によってどうしたらよいか、仲間で話し合いが必要になります。
下り途中で発症した場合
下りの途中で発症した場合も、水分不足が原因かもしれないため、まず水分補給します。(ミネラルウォーターなど)
後は、無理のないスピードでゆっくりと下山していきましょう。
高山病から回復まで時間
いままでに高山病を発症してきた仲間を見てきましたが、下山して標高が下がるに連れて徐々に回復していくというよりは、下山し終わって最寄りの温泉に行って休憩室でしばらく休んでいるうちに回復するというケースが多いです。
そのため、自分自身や登山メンバーが発症してしまった場合、症状から完全に回復するには下山してから数時間はかかる、と思って対処・サポートしてあげるとよいでしょう。
高山病になったら酸素缶?
酸素不足による高山病対策として有効なのが酸素吸引です。実際に、救護所に高山病を発症した登山者が訪れた際の対処方の一つとして、酸素吸入が用いられています。
以下、2014年に富士宮ルート八合目にある診療所”富士山衛生センター”に勤務された医師のお話より抜粋。
大体の場合、まず酸素を測って、酸素ボンベを使って酸素を吸ってもらうことになります。低酸素に伴って、気持ち悪い•頭痛がするといった症状が出ているので、通常は酸素濃度を一時的に上げてあげれば症状は良くなるんです。そのため、軽症の人は座らせて深呼吸をしながら酸素を吸ってもらいます。個人差はありますが、だいたい10分20分も吸っていれば楽になってくるものです。人によっては少し横になって安静にしてもらい、あまりに症状が遷延する人には、痛み止めや吐き気止めも用意していますので、そういう薬を使うこともあります。点滴もありますが、そこまでするのはよほどのケースですね
高山病は気圧低下、脱水症状によるものもありますが、低酸素による高山病を発症した場合は、酸素吸入は有効です。
ただ「だいたい10分20分も吸っていれば楽になってくる」とありますが、一般に市販されている酸素缶1本では容量不足でこの時間の酸素吸入はできません。
その仕様を見てみると・・・
- 容量:5L
- 濃縮酸素約95%
- 使用回数50~60回(約2秒/回)
となっている物もあります。
酸素を吸うのに2秒、吐くのに2秒としたときに、この酸素缶1本で上手に使っても 4秒×60回=240秒≒約4分程度 にしかならないということです。これでは、救護所で行う酸素吸入の時間には足りず、症状の緩和にまで至るか未知数です。
インターネットの富士登山の高山病関連の記事で、「酸素缶は効果がある」とか「酸素缶は効果がない」など賛否両論ですが、もう少し丁寧に書くと、酸素缶は効果があるが、1本では高山病の改善を期待しにくいというのが、適切な気がします。
それでは、何本もこの酸素缶を用意すればいいのかと思う方もいるかとおもいますが、残念ながらそれは難しいです。なぜなら一般的に普及している酸素缶は約1リットルのペッドボトル並の大きさだからです。
これを何本も持っていくのはあまりに嵩張るため、現実的でありません。
そのため、富士山で携行される酸素缶は、軽量・コンパクト・大容量のものが選ばれています。
UNICOM(ユニコム) ポケットオキシ 世界最小サイズの携帯酸素
近年、濃い青色のパッケージのものにリニューアルしました。この酸素缶は、登山用としては画期的です。
- サイズ:直径4cm 高さ15cm
- 重量:153g
- 酸素(99%)
- 充填量 10L
酸素容量が10リットルあり、一般的な酸素缶の2倍、サイズは写真のように小さく携行しやすいです。
旧パッケージのを1個持っています(サイズを見る限り新パッケージと大きさはほとんど変わりません。)が、ザックの片隅に入れて置ける程度の大きさです。
使用時間については、メーカーホームページに、
- 連続で使用した場合:3分前後
- 呼吸に合わせて使用した場合:10分前後
と記載ありました。
富士宮ルート八合目にある診療所”富士山衛生センター”に勤務された医師による「だいたい10分20分も吸っていれば楽になってくる」を指標にすると、呼吸に合わせて上手に使えた前提で1~2本程度用意すれば富士山での高山病の改善が期待できるかもしれません。
amazonに、この製品を富士山で実際使われた方々のレビューが多数掲載されています。
- とてもよかったです。(2017年7月25日):富士登山で使用しました。6年生の子が7合目で高山病を発症。山小屋ごとにこれで酸素吸入を何回かして、少し楽になるまで休憩してから次の山小屋まで頑張ることを繰り返して、9合目でだいぶ回復し山頂まで行けました。本人曰く、効果はあるようです。ポケットサイズで持ち運びにもとても便利でよかったです。家族4人で2本ちょうど使い切りました。
- 個人的には必須アイテム(2018年7月9日):富士山登山時に使用。登山初心者が富士山を登るには必須だと感じました。2個でお得割になっているので、最高です。また、友達たちはこれの2倍くらいの大きさで5Lしかない酸素ボンベを持っていましたが、コンパクトでパワフルなこちらが1番良かったです。最終的に私は追加で1本登山中に富士山で買いました…苦笑 もっと持っていけば良かったです。
- 効果はあると思います。(2018年9月3日):富士登山用に購入しました。二本中一本目は全く問題なく使用できました。二本目は少し押すところが固く、最初の10回程度はジュジュジュッっと出が悪かったものの、途中からは普通に使用できました。鼻ではなく、口に当てた方が吸いやすいのでおすすめです。息を吸う途中で1,2秒プッシュする、のを1回に2,3セットするととても楽になりました。富士さんそなどの大型のものよりかさ張らず、量も多いようなので、初心者の方がパーティーにいるならばおすすめです。
店頭では1本2000円程度で販売されていますが、通販サイトでは複数本になるほど値引きされています。
「UNICOM(ユニコム) ポケットオキシ」の購入者レビューと実売価格
(2019/07/16時点で、楽天よりamazonの方が値引率が大きいようです。)
高山病対策の胸部拡大法
2015/07/11に富士山を登ったときのことです。八合目ぐらいから呼吸が苦しくなりました。
今までに何度も富士山登ってきていますが、その中でも上位に入るしんどさ。
呼吸も少し苦しく、このままでは高山病になってしまう恐れがあるので、登山スピードと呼吸に非常に気を使う。
登山スピードは、とにかく楽に登れるスピードにし、
呼吸は、息をしっかりと吐ききり、深い呼吸を心がける。
また、水分もあまり喉が乾いていなくても、飲む。
一度、高山病を発症すると、ほとんど登山中に回復するのは難しいため、いかに未然に防ぐか、が非常に大切です。
過去に高山病になった仲間の様子を何度も見ていて、せっかくの登山も高山病を発症すると頭痛や体調不良により楽しむのが困難になるのがわかっているので、とにかく全力で高山病にならないように気を配りました。
なんとか九合目(万年雪山荘)に到着。
そして、ここで
兄がダウーーーン!
前日の24時ぐらいまで仕事して、2~3時間の睡眠しかしていない兄は、ついにここで限界。
「ちょっと寝るね」と私に言って、このザックを抱えた姿勢で寝始めました。。。
私も自身の体力が残り少なくなってきているのを感じていたので、兄が寝ている間、ヨガの体操をして体力の回復を試みる。
約30分ほどして、兄が起床。
「だいぶ回復したわ」とのことで、山頂目指し、登り始める。
30分ほど登って、九合五勺(胸突山荘)に到着。
この山小屋の名前は胸突山荘(むなつきさんそう)という強烈な名前ですが、胸を突くほど苦しい登り というのが由来だとか聞いたころがあります。
実際に、寝不足で弱った我々には、胸を突くほどとまではいかなくとも、かなりしんどい登山となりました。
ここから富士宮ルートの山頂まであと30分!
睡眠不足、疲労、空気が薄いで、しんどい(^_^;)
そんなしんどい状況の中、私は新しい必殺技を編み出してしまいました!
その名も、胸部拡大法。
■背景
九合五勺を過ぎたあたりから、疲労、空気が薄いで明らかに呼吸が苦しくなりました。
そこで、もっと呼吸を楽にできないか?とうっすら考えたら、ザックのショルダーベルトが多少胸部を圧迫していることに気が付きました。
元気な状態なら全く気にならない程度の圧迫ですが、けっこう弱っていたので、ザックのショルダーベルトに親指を入れて、前にぐいっと押し出したら・・・体感できるほど呼吸が楽なったのです!
こんな感じ。
これをするしないでは、呼吸のしやすさに明らかな差がありました。
私は九合五勺から先の登山では、ほとんどこれをして登りました。
このお陰で、呼吸が楽になったので、自然と登るスピードも上がり、体も楽になりました。(手は疲れますが 笑)
富士登山でかなり追い込まれた時に、役に立つと思います。
みなさんも、山頂付近で息苦しくなったとき、ぜひ試してみてください!
以上、胸部拡大法でした。
まとめ
発症率と原因
- 富士山登山者の49%は頭痛などの高山病にかかったと回答
- はじめての登山者は高山病になりやすい
- マイカーの人は高山病になりやすい
- 3人以上のグループは高山病になりやすい
- 3大傷病は高山病と外傷と低体温症
- 富士山八合目の診療所の受診者の約7割が「高山病」
- 20代から30代の受診者が目立つ。体力があるので無理しがちが原因。
- 準備不足が原因。山の天気は急変するので雨具(レインウェア)は必需品
- 子どもは5割以上の確率で高山病に
- 5歳~12歳の子ども245人のうち、134人に頭痛や吐き気など
予防法
- ゆっくり登る・・・酸欠になるのを防ぎ、体を徐々に高度順応させる
- 呼吸を深くする・・・酸欠になるのを防ぐ
- 水分をたくさん取る・・・脱水症状を防ぐ
- 睡眠をしっかりとる・・・弱った体で登らない
- 体を冷やさない・・・冷えると血液中の酸素の有効活用が、できなくなってしまう
おまけ-富士山の登山ガイドによる高山病の予防・対策・対処法
富士山の登山ガイドのエキスパートの野中径隆さんが、高山病の予防・対策・対処法の動画を一部無料で配信されています。
「まったく違う気圧の場所で体が違う反応を示すのはあたりまえ」
「体を冷やさないようにする」
「車酔いを防ぐ」
と登山ガイド経験からくるズバッと明快な解説はこころに響きます。
以下のリンクから見れますので、興味のある方はぜひ覗いてみてください。
最後に
もし高山病になってしまったら下山するのがセオリーです。
高度上げると症状がより悪化します。
一度、ある高度で高山病になってしまうと、その標高で回復するのは困難です。
いかに高山病にならないようにするか、未然に防ぐかが最大のポイントです。
しっかり予防して、富士登山を素敵な体験にしましょう☆
装備・持ち物リスト
10年以上の登山経験を元に作成しました。安全・快適な登山の参考になれば幸いです。
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