富士登山@2023年(令和5年度)2022年(令和4年)度 富士山の開山期間は、2022/07/01(金)~09/10(土)でした。
現在は主要な登山道は閉鎖されています(詳細は富士登山オフィシャルサイトでご確認ください)
2023年度の夏の開山時期の登山情報は公開され次第、順次掲載する予定です。
富士山の登山数日前~当日の天気予報(雷・強風・雨)の確認手順を掲載します。最初に、特記事項を掲載しておきます。
夏の富士山では午後は曇や雨になりがちです。理由は日の出と共に地表の気温が上昇し、水蒸気が徐々に上昇して雲を形成するからです。下山中の雨はまだいいのですが、登り途中で雨は蒸れてちょっとしんどいので、できるだけ早めの午前中からの登山がおすすめです。
天気予報の確認手順

富士登山の難易度は天候により大きく変わります。富士登山の数日前、前日、直前の3つのステップで天気予報を確認します。
事前準備

様々な天気予報(天気図、風・雷情報)を確認する前に、地図上の富士山の位置を把握しておくと読みやすいので、掲載しておきます。
赤丸●が富士山です。伊豆半島に囲まれた駿河湾の北部、静岡県と山梨県の県境です。
(出典:Yahoo!地図)
確認手順① 富士登山の数日前

富士登山の数日前には、富士山周辺の天気予報をざっと見て、どのような天気になりそうか把握します。
[富士山山麓の天気予報]
◎山梨県側
富士吉田市の天気予報 – 日本気象協会 tenki.jp (富士吉田ルート、須走ルート)
◎静岡県側
御殿場市の天気予報 – 日本気象協会 tenki.jp (須走ルート、御殿場ルート)
富士宮市の天気予報 – 日本気象協会 tenki.jp (富士宮ルート)

登山数日前の天気予報は、予報の発表日時から離れるほど確率も下がる(気象庁の予報精度は週間予報の降水の有無の適中率は7割程度)のため、あくまで目安になります。次の”前日”と”当日”の確認が非常に重要です。
確認手順② 富士登山の前日

富士登山の前日に天気予報を確認し、これで登山口へ行くかどうか、行動のスケジュールの変更、断念するか等を判断します。気象庁による前日夕方発表の明日予報は、降水の的中率が85%になります。

大雨、強風、非常に高い発雷確率の予報の場合は、無理せず別の機会にすることも検討してみてください。富士山関係者が悪天候により登山が危険と判断した場合、登山口行きのバスが運休したり、登山口で下山するように指示されることもあります。
[富士山山麓の天気予報]
◎山梨県側
富士吉田市の天気予報 – 日本気象協会 tenki.jp (富士吉田ルート、須走ルート)
◎静岡県側
御殿場市の天気予報 – 日本気象協会 tenki.jp (須走ルート、御殿場ルート)
富士宮市の天気予報 – 日本気象協会 tenki.jp (富士宮ルート)
[天気図]
[山頂の気温、気圧]
[富士山周辺の警報・注意報]
<気象庁>富士吉田市 (吉田ルート、須走ルート)
<気象庁>御殿場市 (須走ルート、御殿場ルート)
<気象庁>富士宮市 (富士宮ルート)
[昨日からの風向・風速]
[風向・風速の12,24,36,48時間後の予報]
<HBC専門天気図>日本850hpa 風・相当温位12・24・36・48時間予想図
※850hpa(上空約1500m)09時と21時の一日2回、客観解析された結果を基に、数値計算された12,24,36,48時間後の予想天気図です。矢羽根により、風向・風速の予報を確認できます。(天気図の見方はこちら)
[雷予報(3時間毎、3日間)]
[現地からの気象報告]
※天気、気温、風速など
※登山シーズンのみ
※気象情報を含めた富士山山頂の状況も記載してくれています。
確認手順③ 登山直前、登山中

登山直前では、雨や落雷情報を確認します。もし、登山時間帯に高確率の落雷予報がある場合は登山を中止する方向で検討します。

登山当日は、安全に登れる天候か確認した上で、雨が降る時間帯や雷予報の時間帯を意識して行動します。雨が降る時間帯を把握していればその時間の前にレインウェアを着用しておく、登山中にゴロゴロ鳴り出したりピカピカ光る雲が近づいてきたら最寄りの山小屋に避難するなど柔軟に対応しましょう。因みに私は高山で雷に遭遇したこと2度ありますが、鳴り響く轟音と間近の閃光で死の可能性を感じました。
- 雷鳴が聞こえる程度なら、いつ付近に落雷があってもおかしくない
- 金属類を体から外す必要はない
- 付近に落雷があった場合、地面にうつ伏せはダメ。両足を閉じた状態でしゃがみこみ、頭をなるべく低くし、耳をふさいだ姿勢を取る
- すぐ屋内などの安全な場所に避難
[富士山山麓の天気予報]
できるだけ詳細な時間単位の天気予報を確認したいので、”1時間”毎の天気予報がおすすめです。
◎山梨県側
富士吉田市の”1時間”天気予報 – 日本気象協会 tenki.jp (富士吉田ルート、須走ルート)
◎静岡県側
御殿場市の”1時間”天気予報 – 日本気象協会 tenki.jp (須走ルート、御殿場ルート)
富士宮市の”1時間”天気予報 – 日本気象協会 tenki.jp (富士宮ルート)
[天気図]
[山頂の気温、気圧]
[富士山周辺の警報・注意報]
<気象庁>富士吉田市 (吉田ルート、須走ルート)
<気象庁>御殿場市 (須走ルート、御殿場ルート)
<気象庁>富士宮市 (富士宮ルート)
[現在の降水・雷・竜巻]
[現地からの気象報告]
※天気、気温、風速など
※登山シーズンのみ
※気象情報を含めた富士山山頂の状況も記載してくれています。
天気情報をこれだけ確認しているのか?と思われるかもしれませんが、私はほぼ確認しています。特に、現地からの気象報告・ブログは、近況が確認できるので、とても助かります。自分自身の身を守るため、そして仲間の安全を確保するためにも事前の天気情報の確認を心がけています。
悪天候時の富士山を知る
悪天候時に富士山の上部はどのような状況になっているか、経験と交えて解説したいとおもいます。
落雷と対処法

富士山の天気で最も危険なのは雷です。富士山で登山中に落雷により亡くなられた方もいます。
私自身、富士山で雷に遭遇した経験はありません。(予報で雷雲が徐々に近づいてきたため、七合目付近で諦めて途中下山したことはあります。)が、富士山から北北西に80km移動した場所に八ヶ岳という2000m級の山々があり、そこの稜線で雷に遭遇したことがあります。
登山二日前に天気予報を確認して雷雨だったのですが、前日に雨のち曇りになり、大丈夫かな?とおもって登ったら、当日途中で雷雨に遭遇してしまいました。すぐ近くで・・・
ゴロゴロバリバリ!!!ピカド!!!ドゴゴーーーーーーーン!!!!
まるで自分自身が雷雲の中にいるようでした。あのゴロゴロという音、落雷による閃光があまりにも近いのです!仲間2人の登山でしたが、先頭だったK氏が後ろを振り返った時、私の後ろに雷の閃光が見えたそうです。もうあまりに怖くて逃げるように下山です。
高所の雷は、強烈な青白い光と爆音が周囲を支配するため、ただただ恐怖でしかありません。
富士山の7合目から見えた雷雲の写真(友人より)
落雷発生時の対処法として、次の記事が参考になります。
雷専門の気象情報会社「フランクリン・ジャパン」の今村益子(気象予報士)氏の対処法から、富士登山に該当する内容をまとめてみます。
- 雷鳴が聞こえる程度なら、いつ付近に落雷があってもおかしくない
- 金属類を体から外す必要はない
- 付近に落雷があった場合、地面にうつ伏せはダメ。両足を閉じた状態でしゃがみこみ、頭をなるべく低くし、耳をふさいだ姿勢を取る
- すぐ屋内などの安全な場所に避難

事前の天気予報で雷予報のときに登山を避けるのはもちろんですが、天候が急変して雷が発生してしまったら、すぐに最寄りの山小屋に避難するようにしましょう。
強風と対処法

冬の富士山は体が飛ぶほどの強風になることで有名ですが、夏の富士山でも強風になることがあります。七合目以上はどの登山ルートでも木々がないため、強風が体に直撃します。
私自身も強風吹き荒れる中で富士山に登ったことがありますが、強風により体が押されるためにまともに歩くことが困難になります。
特に足場の不安定な場所を通過するときは、強風による転倒しそうになります。(結局7合目で断念し、下山しました。そのときの登山日記はこちら)しかも、雨が混じるとさらに難しい状況になります。
強風にのって雨が目の中に入り込み視界が奪われます。(そういう時はキャップのつばで視界を確保します。)
はっきり言って、雨まじりの強風吹き荒れる中での登山はただただ危険なつらい登山になります。
標高があがるにつれて風もさらに強くなるため「せっかく来たのだから、なんとか登頂したい!」という気持ちと「いったい何のために登っているんだ?」という気持ちが交錯し、何度も自問自答したのを覚えています
2010/07/29 須走口登山道7合目付近
2011/08/04 18:19 須走口下山道8合目付近
2011/06/28 猛烈な強風が吹き荒れる富士山山頂
事前の天気予報で強風注意報が出ている場合は、できるだけ登山を避けるのが無難です。
また、登山途中で思わぬ強風になることもあります。登り途中であれば、山小屋前を通った時に小屋番から下山するよう指示されることもあります。
山頂付近は風が強いことが多く、疲労の中で下山しなければなりません。今までに富士山で強風に遭遇したことは何度もありますが、体が振られるほどの風の場合は、片足上げた時に倒れそうになるため、支えるためのトレッキングポールがとても役立ちます。
富士山の台風

台風時は下界でもその影響が凄まじい中、富士山ではどのような状況になっているか想像できるかと思います。
Youtubeに台風時に山頂の山小屋から撮影した動画が掲載されていました。
■富士山頂上での台風11号
2014.8.10 16:30現在の富士山頂上。
台風の影響で山小屋がミシミシと揺れています。
雨、風共に強く、石も一緒に飛んでいます。
大変危険な状況です。
最後に
天気予報はあくまで予報であり、ある程度の振れ幅があります。直近の予報は確率が高く、先になるほど当たる確率が下がります。最終的には、現地入りしてからの判断になります。
また、夏の富士山では、午後は水蒸気の地表より上昇し曇や雨になりがちなことも、事前に知っておきたい知識です。富士山は、登山ルート上に多数の山小屋があり、場合によっては避難できます。
天候状況は時間の経過とともに刻々と変化していきますので、状況に合わせ臨機応変に対応し、安全で楽しい登山になるよう努めたいものです。
装備・持ち物リスト

10年以上の登山経験を元に作成しました。安全・快適な登山の参考になれば幸いです。
富士山のように標高が森林限界を超えた山を登る場合は、事前に天気予報を確認することが非常に重要になってきます。しかし経験上、登山ルートの状況は天気予報サイトだけでは把握しきれないケースもあります。(例えば、富士山では何日も晴天が続くと地表が乾いて、マスク無しでは呼吸困難なほどの砂ぼこりが舞うようになりますが、天気予報サイトではわかりません。)
富士山に上部には複数の施設・山小屋があり、天気状況や登山状況を配信してくれている所もありますので、一般の天気予報サイトの確認と合わせて山小屋の配信情報の確認も強く推奨します。(このページ内で参考となる施設・山小屋リンクも掲載しています)