富士登山@2023年(令和5年度)2022年(令和4年)度 富士山の開山期間は、2022/07/01(金)~09/10(土)でした。
現在は主要な登山道は閉鎖されています(詳細は富士登山オフィシャルサイトでご確認ください)
2023年度の夏の開山時期の登山情報は公開され次第、順次掲載する予定です。
御殿場ルートの概略図、登山口までのアクセス情報、登山地図・マップ、特徴(登山口(五合目)標高、歩行距離、所要時間・コースタイム、山小屋数)、関連動画の紹介、登山時に撮影した写真、注意点などについて掲載、解説します。

2022年7月に御殿場ルートを宝永山まで下山&登山口視察してきましたので、「各地点の情報、個人的感想」にその時に撮影した写真・情報を追記しています。
御殿場ルートの概略図
- 開通:2022/07/10(日)~ 09/10(土)
- 登山口(五合目)標高:1440m
- 歩行距離:19.5km (登り-11.0km,下り-8.5km)
- 所要時間(休憩含まず):約10時間40分 (登り-約7時間30分,下り-約3時間10分)
- 山小屋数:9

御殿場ルートは距離が長い、単調、山小屋とトイレが少ない等かなりハードです。登山者が非常に少ないため、トレイルランニング(山道を走る)の方が多い印象です。
登山口の位置とアクセス
”御殿場口新五合目” が登山口となります。
御殿場ルート登山地図

昔ながらのPDF等の地図もありますが、昨今、登山アプリの地図もあり、選択肢が広がっています。
NEWS
簡易地図
※地図上の新六合目の休業中の山小屋は2022年から山小屋”半僧坊”として正式に営業しています。
アプリ地図・有料地図
<紙地図>
大きな紙地図なので全体を把握しやすく、登山口までの移動含めた計画を立てやすいです。
その他

その他に 静岡県が制作した~マナーガイド「富士山へ登る人のために」~のebook版があります。日本語・英語版/中国語(繁体字)版/中国語(簡体字)版/韓国語版/ポルトガル語版があり、簡略化された登山地図も掲載されています。数が多いので下記ページにまとめています。
特徴

御殿場ルートの特徴を ○ or △ で掲載してみました。このルートは距離も時間も長く、中・上級者向きのルートです。
- 上りルートが浅い砂利道で歩きやすい
- そもそも登山者が圧倒的に少ない(このルートの登山者は、富士登山者の約6%)
- 登山者が圧倒的に少ないので、他の登山者と仲良くなりやすい。
- 他のルートのように登山渋滞がない。
- 下山ルートの”大砂走り”はふっかふかの砂利で高速快適下山!
- 富士山の雄大さを体感できる(特に大砂走り下山時の開放感はすごい!)
御殿場口の下山ルートは大砂走りという深い砂利道が六合目から御殿場口新五合目までの非常に長い距離続きます。(”大砂走り”というだけあって、須走口の”砂走り”よりスケールが大きいです)
<御殿場ルートの下山道の動画解説>
足が砂利にずっぽり埋まります!
他の登山者の方々もちゃんとロングスパッツ付けてます。
砂利が深く、フットスパッツを靴の上から付けていないと、靴の中に小石が入ってしまい痛くなります。
- いちいち小石が入るたびに靴ひも解いて靴脱いで、また靴はいて・・・と疲労の中で気が狂いそうになるほど面倒な作業が続く
- 仲間に「足に石が入った、痛い!ちょっと待って!」と足止めしてしまうことも(一人の準備不足は仲間に負担)
となりますので、事前にフットスパッツを用意することをお勧めします。(上の動画の出演者もみなさん登山スパッツ付けてます)
- 出発地点の標高が1440mと低く(富士宮口は2400mから)、登山時間も非常に長い。
- 登山開始から約3.5時間(御殿場口五合目の大石茶屋から新六合目半僧坊までの所要時間目安、ただしこれは健脚者休憩なしの時間、女性、年配者はこの1.5倍くらいかかる覚悟でいてください。)は山小屋なし!売店なし!トイレなし!休憩イスなし!(※ 女性、子供、年配者は要注意)
- 登山開始から約3.5時間は、悪天候時(雨、強風、雷)時の避難場がない。
- 登山開始から約3.5時間は、山小屋なく水分調達できないため、1.5リットル程度は水を持つ必要がある。
- 登山開始から約3.5時間は、補給できる山小屋ないため、他のルートより行動食、水を多く持つことになり、ザックが重くなる。
- 登山開始から約3.5時間は、トイレ無く、隠れてするような木陰や岩陰ほとんどない(女性は要注意)
- 登山開始から約3.5時間は、山小屋なく座るような木のイスなし。砂礫の上にただ座るのみ。
- 登山開始から約3.5時間までの上りは非常に単調な砂利道がひたすら続き、飽きる。
- 日帰り登山は難易度が高い。1泊2日以上を推奨。
- 富士山の山頂を中心としたご来光の方角は、山開きの7月1日には東北東で、次第に南下し閉山時期9月10日にはほぼ東になります。
御殿場ルートは富士山の南東にあるため、ルート上からの眺めは、時期や場所によってはご来光の瞬間が山の斜面で隠れてしまったり、左側の地平線・雲海が山の斜面に隠れてしまうことも考えられます。早朝2時前後に山小屋を出発して山頂で見る場合は問題ないですが、宿泊する山小屋前で見る方は、山小屋前でどのように見えるか事前に山小屋に問い合わせて確認してください。詳細な方角・日の出時刻は日の出・日の入りマップでも確認できます)
富士山山頂へつながる4つの登山ルートをすべて登って感じたことなのですが、個人的な難易度を表現すると
難しい <-----> 易しい
御殿場ルート >>>>>> 須走ルート > 富士宮ルート = 吉田ルート
はっきり言って五合目スタートの中では御殿場ルートだけ、群を抜いて難易度が高いです。別次元です。
山小屋・施設リスト一覧
五合目からの登山では、最も標高差と歩行距離が長い御殿場ルートですが、ルート上の施設が非常に少なく、トイレも少ないため、それを踏まえた登山計画をおすすめします。
関連ページ
動画
富士宮ルート全体を解説した動画を紹介します。
富士山登山ガイド【御殿場ルート】(約15分)
静岡県の世界遺産 富士山公式サイトに掲載されている御殿場ルートの案内動画です。装備や登山マナー、ルート情報について解説しています。
ルート情報のみ知りたい方は ダイジェスト版(約8分) がおすすめです。
各地点の情報、個人的感想
2012年の登山体験
2012/08/23に初めて御殿場ルートをすべて登ってきました。(”下りだけ”は、その後何度か下山しています)。
前日は十分に睡眠をとり、準備万端かつ好天の中での登山でしたが、御殿場ルートがこれだけ厳しいルートだとは知りませんでした。私自身もそれなりに登山経験を積んでいるつもりですが、それでも久々にこのルートキツイ!と思いました。その日の登山者は数えられるくらい少なかったです(他のルートは登山者で溢れているのに)。
そして、私はほぼコースタイムと同じペースで歩いたのですが、2人の登山者に追い越され、7人の登山者を追い越しました。私を追い越した登山者は体型がスリムな女性、もう1人はマッチョな男性でした。私が追い越した登山者は若い男女グループ4人、年配のおじさん1人、中年男性2人でした。
マッチョな男性(因みになぜマッチョとわかったかというと、その男性が休憩中にTシャツ脱いだら上半身筋肉バキバキだったから)は、「去年まで富士宮登ってたんですけど混雑に嫌気がさして、ことしは御殿場ルートに来たのですが、こんなにキツイとは・・・」と言っていました。
中年男性と少し会話したのですが、「本当にきつい。。。登れない自分が情けない。もう、私は途中下山するかもしれない。。。」と何度も自分を責めていました。
別の中年男性と山頂付近で会話したのですが、「朝三時に出発したのですが、ほんとうにきつくて、何度も途中の登山道で寝ました。」とその過酷さを伝えてきました。
この御殿場ルートに挑戦する方には、その過酷さを踏まえたうえで、万全の装備や持ち物を準備し、万全の体調で望むことを強くおすすめします!
そして、もし御殿場口新五合目から無事登頂されましたら、私は心から敬意を表したいと思います(^^)
2022年7月の情報を追記

2022年7月に御殿場ルートを宝永山まで下山&登山口視察してきましたので、「各地点の情報、個人的感想」にその時に撮影した写真・情報を追記しています。
【御殿場ルート】御殿場口新五合目(標高1,440m)
御殿場口新五合目 駐車場
御殿場口新五合目(標高1,440m)のマイカー規制ありません。駐車場は第1~第3駐車場までありますが、第1駐車場はバス・タクシー・トレイルステーションのブースとなっているため、一般車が駐車できるのは第2と第3駐車場になります。第2駐車場の方が登山口やトイレに近いため、基本的にこちらから車が埋まっていきます。
御殿場口新五合目 第2駐車場
トレイルステーションの公式サイトより、下記案内が発表されていました。
御殿場口駐車場の平日夜間閉鎖について(2022.07.19)
7月10日〜9月10日の期間、第2、第3駐車場は夜間規制があります。
【閉鎖時間】月〜木:午後9:00〜午前4:00
車両の出し入れはできませんので、ご注意ください。土日祝日は終日OPENしております。
※マイカー規制は実施しておりません。
※お盆や祝日は開放いたします。
※第1駐車場はバス、タクシー及び関係車両のみの駐車場となりますので、7月10日〜9月10日までご利用できません。
Mt.FUJI TRAIL STATION(マウントフジ トレイルステーション)
御殿場新五合目の第1駐車場には、ここ数年はトレイルステーションが開設されています。
ここには
- 登山情報の提供(地図・パンフレットなど)
- 関連事業者のブース(プレハブ)
- 休憩ベンチ
があります。
私が訪れた時は雨でした。
手やギアを洗える場所もあります。
公衆トイレ
2021年に御殿場口新五合目のトイレがリニューアルされました。以前は濁った水が循環する結構臭いがする古びたトイレでした(これが御殿場口新五合目の残念ポイントでした)が、リニューアルされたことで非常に綺麗で清潔なトイレに生まれ変わりました!
男子トイレに入ると・・・
綺麗!
清潔☆
手洗い場もついてる!
多目的トイレもあります。
携帯トイレ専用のゴミ捨て場も設置されています。(御殿場ルートは山小屋が少ないため、やむ終えず携帯トイレを使用するケースも考えられます。捨てる場所が用意されていて助かります)
バス停
登山口付近にはバス停があります。
バス停近くの売店横には屋根付きのバス待ち場があります。
富士急小屋ハーフマウンテン
登山口の隣には、1件だけ売店あります。お土産品やお菓子等がおいてありました。私が訪れた時点(2022/07/12)での営業時間は9:00~16:00 となっています。
登山口
登山口前では、コロナ対策の体調確認・検温、富士山保全協力金の呼びかけが行われていました。
この鳥居が登山口です。ここからながーーい登山が始まります。
【御殿場ルート】新五合目(大石茶屋/標高1,520m)
登山口から10分ほど緩斜面を登ると、大石茶屋があります。
さあイクゾ!
駐車場から程なく「大石茶屋」
御殿場登山ルートはこの後は六合目まで山小屋無し…
距離も長く過酷です(笑 pic.twitter.com/liIma2VLEe— MatsuiShinya駒弐 (@ShinyaMatsui) July 31, 2022
御殿場口新五合目の駐車場近くには食事処が無いため、特に下山時にお腹が空いている方は大石茶屋で食事をとるのがおすすめです。
【御殿場ルート】新六合目(半蔵坊/標高2,590mm)
2021年、御殿場ルートの新六合目に諸事情により仮オープンした山小屋「半僧坊」ですが、2022年度は正式に通常営業となるようです。半僧坊は、七合目のわらじ館の別館で、宿泊(最大定員12名)、バイオトイレ、売店もあるようです。今まで五合目登山口から七合目まで何もありませんでしたが、半僧坊がオープンしたことにより、随分と登りやすくなったと思います。詳細は半僧坊HPでご確認ください。
標高2590メートル、半蔵坊。
先は長い💦 pic.twitter.com/rVnxrkG30f— なかてち🌈 (@nakatechi) August 1, 2022
【御殿場ルート】七合目(日の出館(廃墟)/標高3,030m)
ここから少し下ると、日の出館の廃墟があります。
御殿場ルートは、廃墟となった山小屋がいくつかあります。
【御殿場ルート】七合四勺(わらじ館/標高3,090m)
砂走館から少し下ったところに、もう1件山小屋があります。
立地的に、砂走館と競合していて見た目砂走館の方が綺麗ですが、宿泊者のレビュー見るとスタッフの対応やサービスが良く、ファンが付いているようです。
スイカあります。とのことで、試しに頂いてみました。
富士山では生のフルーツを食べる機会が少ないため、スイカの水分が身体に染み渡る感じがします。山なので普通?のスイカでも非常に美味しく感じました☆
【御殿場ルート】七合五勺(砂走館/標高3,090m)
砂走館は、赤岩八号館と経営者が同じです。そのため、山小屋の構成も非常に近いです。
山小屋前の登山者の休憩スペースも広めです。
カレーおかわり自由です。
赤岩八号館も砂走館もトイレが宿泊棟と別になっていて、宿泊時はトイレ行くのに一旦外に出なければいけませんが、宿泊棟にバイオトイレの臭いが来ないです。また、トイレ自体がしっかり清掃されて綺麗なので、御殿場ルートを通過する際はよく使わせて頂いてます。

砂走館も赤岩八号館もいつもトイレが綺麗です
飲み物、焼印もあります。
【御殿場ルート】7合7勺トラバースルート・連絡ルート
砂走館から25分ほど登ると、富士宮ルートの八合目(池田館)と御殿場ルートの7合7勺を結ぶ、トラバースルートの合流地点があります。
このトラバースルートは、ちょっと訳ありのルートで、あまり一般的には知られていません。調査の結果、富士山の富士宮ルートも御殿場ルートも実は”静岡県の県道”として整備・管理されていますが、このルートはその管理下にありません。そのため、公的機関発行の富士登山地図にはこのルートは掲載されていません。また、富士宮ルート側の山小屋HPにはこのトラバースルートについて記載が無く、一方の御殿場ルート側の山小屋のHPには記載があります。この件についてまとめたページがありますので、ご参考になさってください。
【御殿場ルート】七合九勺(赤岩八合館/標高3,300m)
御殿場ルートの七合九勺には赤岩八合館があります。
鐘あります。鳴らすと結構な音量でびっくりします。鳴らすなら時間帯に配慮が必要です。
赤岩八号館もカレーライスがおかわり自由です。その昔、宿泊した時お腹いっぱいになりました。食べ過ぎ注意です。
ここから山頂までは約90分です。
【御殿場ルート】八合目(見晴館(廃墟)/標高3,400m)
赤岩八号館から少し登ると、八合目に到着。
八合目には見晴館の廃墟。
もう、建物の形なく崩れてます。
ここから約75分ほど登ると、山頂に到着です。
御殿場ルートはわりと同じ斜度の傾斜が続く。
階段が少なく、適度な砂利道が続きます。
【御殿場ルート】ルート頂上
御殿場ルートの最後の鳥居をくぐると、頂上到着です。
その横に銀明館(休業中)があり、その奥に銀明水があります。
「金明水と銀明水」
富士山頂にある出水口。山頂北、山梨県吉田口登山道の近くにあるのが金明水、同南、静岡県の富士宮登山道・御殿場登山道近くにあるのが銀明水で祠(ほこら)を置いて祭っている。富士宮市教委によると、雪解け水が溶岩の間からしみ出ているもので、相当古くからあった。山頂に出る貴重な水ということで信仰の対象にもなり祠が祭られていると見ている。
富士山成立に関する伝説の一つ「日本一の山と湖」にある話は次の通り。
「昔、神様たちが集まって国造りの相談をし、まず日本一高い山と日本一大きな湖を造ることになった。そこで、日本一高い山を造るところを駿河国と決め、その土を近江国から運ぶことになった。山は一夜のうちに造ることになり、力持ちの神様が夕方から近江国の土を大きなもっこに入れて運んだ。明け方近くになって、あと一もっこで山が出来上がると、最後の一杯を担ぎ上げたとき、一番鶏が鳴いてしまった。神様はがっかりして土をこぼした。そのために富士山の頂上は平らになってしまった。土を取った跡には日本一大きな琵琶湖ができた。そして最後にこぼした一もっこの土でできたのが、琵琶湖近くの近江富士(三上山)だという。神様はかなわなかった一もっこの望みを果たすため、琵琶湖の水を富士山に送った。金明水、銀明水といわれる水が出るのは、琵琶湖からの通い水だという」
※金明水、銀明水の表記において、「明」は「名」または「銘」と表記するものもある。
[出典:富士山NET]
御殿場ルートの頂上と富士宮ルートの頂上は非常に近く、御殿場ルートの頂上から2分ほど歩くと、富士宮ルート頂上にある山小屋の頂上富士館(営業してます)、浅間大社奥宮、富士山頂郵便局があります。
頂上富士館
富士山頂上 浅間大社奥宮
富士山頂郵便局
私の御殿場口の登山記録
装備・持ち物リスト

10年以上の登山経験を元に作成しました。安全・快適な登山の参考になれば幸いです。
2021年、御殿場ルートの新六合目に諸事情により仮オープンした山小屋「半僧坊」ですが、2022年度は正式に通常営業となるようです。半僧坊は、七合目のわらじ館の別館で、宿泊(最大定員12名)、バイオトイレ、売店もあるようです。今まで五合目登山口から七合目まで何もありませんでしたが、半僧坊がオープンしたことにより、随分と登りやすくなったと思います。詳細は半僧坊HPでご確認ください。