富士宮ルート八合目と御殿場ルート7合7勺のトラバースルート

富士宮ルート八合目と御殿場ルート7合7勺のトラバースルートを調査してみました。(トラバース:登山で、岩壁や山の斜面を横切って進むこと)

 

最初に

何年も前から「富士宮ルートの上部で御殿場ルートと繋がるルートがある」と耳にしてはいたのですが、富士登山の地図を見てもそのルートをしっかりと示しているものが見つからず、また、オフィシャル(公的機関)で公示されている富士登山のルート地図で表示されていないからには、何か理由があるのだろう、と思って深く調査してきませんでした。

2021年の開山で、コロナウイルスの影響により可能な限り登山道の混雑の回避(密を避ける)が推奨されています。このトラバースルートはこの混雑を分散させる可能性があるため、改めて実態を調査しました。今回、関連する機関や施設に問い合わせたところ、「なぜオフィシャルで登山道として表示されていないのか」が浮き彫りになってきました。

富士宮ルート八合目と御殿場ルート7合7勺を繋ぐトラバースルートとは?

まずは各々の富士山の登山地図の表示を見てみましょう。

登山アプリ YAMAP

登山アプリ ヤマレコ

 

いくつか調べた結果、登山アプリのYAMAP、ヤマレコでは、このトラバースルートが富士山の登山ルートとして表示されていました。一方、御殿場市のWebサイトに掲載されている”2019富士山御殿場口富士登山マップ”を見てみましょう。

御殿場市 2019富士山御殿場口富士登山マップ

御殿場口富士登山マップ

確認すると、このトラバースルートは破線として表示されています。もちろん、この表示では歩ける道として認識する方はほとんどいないでしょう。公的機関が公示している富士登山地図は、私が確認したところ、破線があるか、もしくは全く無いかのどちらかです。登山ルートの地図として昔から親しまれている”山と高原地図”の富士山地図も同様でした。

アプリ系の登山地図はGPSで登山者の軌跡を保存しています。おそらくある一定の登山者が歩いたルートはルートとして表示されるのかもしれません。一方、公的機関等の登山地図は、登山者が歩いて良い道を示していると思われます。

なぜトラバースルートはオフィシャルでルート表示されないのか?

『なぜトラバースルートはオフィシャルでルート表示されないのか?』を深堀りする前に知っておきたいのが、山小屋のホームページの記載状況です。

山小屋のホームページの記載

御殿場ルートの山小屋の赤岩八合館・砂走館、わらじ館のホームページでは、このトラバースルートがはっきりと写真付きで明記されていることです。

知る人ぞ知る!富士登山「最短距離」のルート
初心者に特にオススメです。富士宮ルートと御殿場ルートを、富士宮口登山道八合目のトラバースルート経由で登る複合ルートです。富士宮口登山道八合目の山小屋の横から、歩きやすい山道になっている連絡通路をまっすぐに歩き、御殿場ルートに入り、登り始めるとすぐに赤岩八合館に到着します。[出典:赤岩八合館]

 

富士宮口8合目~御殿場口7合7勺(連絡路)
御殿場口7合7勺と富士宮口8合目の間には連絡路(赤岩八合ルート)があり、相互に移動できます。富士宮口8合目には「富士山診療所」が開設されています。御殿場口登山中に具合が悪くなった時などに利用できるよう、ルートを紹介します。ただし、シーズン初めなど時期によっては通行が困難な場合があるので、ご利用には十分ご注意ください。[出典:わらじ館]

しかし、富士宮ルート側の山小屋のWebサイトには、このトラバースルートの案内の記載がありません。

静岡県に問い合わせてみる

富士宮ルートも御殿場ルートも静岡県の管轄です。そこで、各登山道を整備している

  • 静岡県富士土木事務所(富士宮ルート管理)
  • 沼津土木事務所(御殿場ルート管理)

に電話で問い合わせてみました。

各土木事務所からは

  • 富士宮ルート・御殿場ルートの五合目から山頂のルートは、登山道ではあるが”県道”となっていて、静岡県が管理・整備している
  • 富士宮ルート八合目と御殿場ルートのトラバースルートは県道ではない、富士土木事務所、沼津土木事務所のどちらも管理・整備していない
  • 富士山の遊歩道で市が管理しているものもあるので、そういう可能性もあるかもしれない

といった回答がありました。つまり静岡県の管理外のルートということになります。

電話では確認していませんが、御殿場市のWebサイトに掲載されている地図にもトラバースルートが表示無いため、おそらく御殿場市も管理していないと思われます。

「公的機関に登山道として認識されていない」これがオフィシャルな地図で登山ルートとして表示されない理由と考えられます。

トラバースルートはなぜある?

御殿場ルートの赤岩八号館で電話で問い合わせたところ、『トラバースルートはもともと山小屋の人々が各ルートを往来するのに使っていた』と回答ありました。またこのルートは安全ですか?と聞いたところ、『先日スタッフ数人で確認しましたが、特に問題ありませんでした。でも、不安を感じるようでしたら通らない方がいいかもしれません』と回答ありました。

富士宮ルートの分岐点となる池田館にも問い合わせたところ『安全面のこともあるので、こちら側としてはどうぞ通ってくださいとは言えない』と回答ありました。この安全面とは、静岡県としてある程度安全性が担保されるように整備しているルートではない、多くの登山者が歩くことを想定して県が整備していない、という意味だと思います。

最後に

関連情報を参考の上、判断していただければと思います。

関連リンク

 

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