富士登山ではザックカバーが荷物を雨や汚れから守ります。適合サイズや防水性の選び方を初心者向けにわかりやすく紹介します。

- ザックカバーは100%雨の進入を防いでくれるものではありません
- ザックの中身の防水対策 > ザックカバー
- ザックの大きさにあったカバーを選ぶ
以下、詳しく解説しています。
ザックカバーとは


ザックカバー(防水カバー、レインカーバー・パックカバー)は、雨が降ったときにザック(リュックサック・バックパック)の中に雨が進入するの防ぐための防水カバーです。ザックカバーは、非常に小さく収納できるので、持ち運ぶ負担にはなりません。
富士山の天気は変わりやすい
富士山の天気は突然変わります。標高が高く登山時間の長い富士山では、山頂では雨は降っていなかったけど下山途中で雨や霧になることが多々あります。


山頂では曇りだったが、八合目で雨。メンバー全員ザックカバーを装着



急に雨が降り出したときに、ザックカバーで覆うことでザックを濡れにくくすることができます。
ただ、注意点としてザックカバーは100%雨の進入を防いでくれるものではありません。なぜなら背面(背中に当たる部分)はカバーされないためです。


ザックの背面は背中と密着するため、直接雨が当たることはあまりありませんが、ザックを置いたとき、自身のレインウェアの背中に落ちる雨、ザックカバーの上部から落ちる雨、ザックカバーとザックの隙間に入り込んだ雨などで時間の経過とともに濡れていきます。



あくまで、ザックカバーはザックを濡れにくくするという補助的な道具と考えてよいと思います。
大切なのは”個別の防水対策”



ザックの中に入っている濡らしてはいけないもの(カメラ・携帯などの電子機器類)や濡らしたくないもの(財布・衣類など)は個別に防水対策が必要です。
富士登山される多くの方が、デジカメや携帯電話などの電子機器類をもっているとおもいます。必ず電子機器類は、個別にジップロックなどに入れて防水しましょう。着替えなどのその他衣類も大き目の防水袋(透明ゴミ袋など)にいれて防水対策することが欠かせません。



ザックの防水対策の優先順位は
ザックの中身の防水対策 > ザックカバー
です。
それでは、「ザックの中で防水対策するのであれば、ザックカバーはいらないのでは?」とおもわれる方も多いとおもいます。登山に慣れた方の中には、それを知ってあえてザックカバーを持たない方もいます。
ただ、雨の中でザックカバーがないと短時間の雨でもザック自体がべちゃべちゃに濡れることになります。そうなるとザックの外側が濡れ、やがて内部に雨が徐々に染み込む可能性があります。また、多量の水分を吸ったザックは重量が増え、歩行の負担も増します。
特に、山小屋で宿泊される方はザックを寝床まで持ち運ぶことになります。経験上、小屋のスタッフから濡れたザックを入れるためのポリ袋を渡されてその中にザックを入れることになると思うのですが、ザックがべっちゃべちゃだと非常に扱いにくく、触るたびに手が濡れ、荷物の出し入れで濡れ移りします。
ザックカバーで使っていれば、短時間の雨ならほぼザックは濡れず、長時間の激しい雨だとザック背面(背中側)は濡れるものの、外側は濡れ移りで湿っぽくなる程度にとどまります。



様々な登山経験から富士登山では、ザック内部の荷物に対してはジップロックやビニール袋などで防水対策して、なおかつザックカバーを併用することが多いです。
ザックカバー(防水カバー、パックカバー)の選び方
現在、さまざまなメーカーから販売されているザックカバーですが、選ぶときのポイントがいくつかあります。
ザックカバー選びの基本



ザックカバーを選びの基本は、ザックの大きさ、容量にあったザックカバーを選ぶことです。
たとえば、ザックの容量が30リットルの場合、ザックカバーは30リットル用を用意するのがベストです。ザックが30リットルなのに20リットル用のザックカバーは使えません。逆に、ザックが30リットルで40リットル用ザックカバーを使えるか、というと使えます。
ただ、必要以上におおきなザックカバーを付けると風でばたつくため、ジャストサイズが最も良いです(富士山の標高2500m以上は風を和らげる森林がほぼなく、強風になりやすい)。ザックの外に荷物をくくりつけるような場合は、少し大きめのザックカバーを使用することになります。自分のザックの容量用のザックカバーを選ぶのが基本ですが、場合によっては汎用性を考え若干大きめのを選ぶとよいと思います。



「自分のザックの容量がわかりません。」という方は、直接アウトドアショップにザックを持っていき、カバーをかけてもらうことで、確認できます。
水抜きが付いている



登山用に購入する際は、この水抜きが付いているものをおすすめします。
ほとんどの登山メーカー製のザックカバーの下には水抜きが付いています。(市街地用は付いていないことも)


これは、ザックとカバーの間に水が侵入してもすぐに排出できるようにするためのものです。
メーカーにより、水抜きの作りは違います。


この水抜きは、雨風が強い中での長時間の登山になると重要になってきます。ネット通販などで販売されている安物の中にはこの水抜きが付いていないものもあるようです。登山用に購入する際は、この水抜きが付いているものをおすすめします。
水抜きが無いと長時間の雨、強い雨でザックカバーの下で水が溜まる可能性があります。その状態が続くとザックの底を水に漬けていることになり、ザック内部への浸水を助長させてしまいます。
背面で連結できる



富士登山の場合、ザックカバーの背面でカバーの左右の連結できるものがおすすめです。これにより、風によってカバーが外らない、バタバタと浮き上がらない、カバーのズレを防止する効果があります。


富士山の六合目以上はほとんど木々が無いために横殴りの雨になることも多々あります。この機能が付いていないカバーを使った山仲間が「富士山で強風になるとカバーが外れるんじゃないかと気になって・・・カバーの連結はあった方が良いね」と言っていました。
サイズはジャストサイズを選ぶ
実際に大雨の富士登山での出来事です。その日は、登山道が雨水で濁流となるほどの天気でした。


2010/07/29 須走ルート
下山中にふと前を歩いているおばさまが目に入ったのですが、よく見るとザックカバーは付けているものの、ザックとサイズがあっておらず(明らかにカバーが大きい)ため、ザックカバーの下に水がたっぷんたっぷんと溜まって揺らしながら下山しているです。
おそらく、徐々にザックカバーの下に水が溜る⇒水の重みでザックカバーがずり下がる⇒たるんだ部分にまた水が溜まる、となったと思われます。強風と大雨でおそらく本人は下山で必死で、不要な重りを背中に抱えていることに気づいていませんでした。(気づいても大きすぎるカバーを付けている限り、また徐々に水が溜まってしまいます)
その様子を見て、サイズオーバーのザックカバーは適切なサイズを使わないとそうなるのか・・・と、身に染みて感じました。
ザックカバー(防水カバー、パックカバー)一覧
登山用途に使えるザックカバーは、
- アウトドアメーカー製 ザックカバー[価格:2千円~3千円]
- その他一般汎用 ザックカバー[価格:1000円~]
の2つに大別できます。
アウトドアメーカー製のものは、軽い、使い勝手が良いなど様々特徴があります。
アウトドアメーカーのザックカバー



一見同じように見えるザックカバーですが、さまざまメーカーを見比べてみると、結構違います。
モンベル、ザ・ノース・フェイス、カリマー、コロンビア等、様々なアウトドアメーカーがザックカバーを販売しています。
以下、富士登山で使われるザック容量20~30リットルのサイズのカバーをリストアップしました。
通販格安カバー



ネット通販の売れ筋・人気ランキングを見ると1000円ぐらいから格安のザックカバーが販売されています。富士山1回にしか使わない方、費用を抑えたい方はこれで十分かもしれません。
富士登山で使うなら、水抜き、背面連結の機能があるものをおすすめします。水抜き機能があるネットブランド品のザックカバーは少ないですが、僅かながら付いているものを掲載します。
水抜きあり


水抜き無し


購入前の注意点



最近販売されいているザックには、ザックカバーが最初から付属している場合があります。中には、それに気づかず別途カバーを購入してしまうケースもあると思います。カバーを購入する前に、自身のザックにカバーが付属していないか確認することをおすすめします。





カバーの収納場所はメーカーにより異なりますが、ザックの底に付いているケースが多いです。(そのため購入時に気づいていないと、そのまま気づかないことも)
まとめ
- ザックカバーは100%雨の進入を防いでくれるものではありません
- ザックの中身の防水対策 > ザックカバー
- ザックの大きさにあったカバーを選ぶ
必ずしも必要ではないザックカバーですが、私は使用しています。経験上、適切なザックカバーを使用していても数時間も続く豪雨の中ではザックは濡れました。しかし、短時間の雨ぐらいならザックカバーを付ければザックはほぼ濡れません。自分のザックの容量がわからない方は直接アウトドアショップに足を運んで確認してみてください。
富士登山の装備・持ち物リスト「42項目」
- -遭難、怪我のリスクを防ぐ最重要装備
- ◎-登山の安全性・快適性が向上する装備
- ○-登山の安全性・快適性が多少向上する装備
- △-あれば便利な装備
- ザック(リュックサック・バックパック)
- ○ ザックカバー
- ◎ ヘッドライト・ヘッドランプ
- ◎ 予備電池
- 登山靴・トレッキングシューズ
- ◎ フットスパッツ
- △ 水筒
- △ 防水スタッフバック
- △ カメラ・デジカメ
- ◎ トレッキングポール
- ◎ サングラス
- ○ 腕時計
- ◎ 富士登山ルート地図・マップ
- ○ ビニール袋
- △ トイレットペーパー
- ◎ 洗面用具
- ◎ 携帯電話
- お金(100円玉など)
- ○ 耳栓or携帯ミュージックプレイヤー
- △ 使い捨てカイロ
- ○ メガネ、コンタクト
- ○ 酸素缶
- △ サバイバルシート
- △ 履き替える靴やサンダル
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