富士登山@2023年(令和5年度)2022年(令和4年)度 富士山の開山期間は、2022/07/01(金)~09/10(土)でした。
現在は主要な登山道は閉鎖されています(詳細は富士登山オフィシャルサイトでご確認ください)
2023年度の夏の開山時期の登山情報は公開され次第、順次掲載する予定です。
- 慣れれば、足にかかる負担を手に分散できるだけでなく、バランスがとりやすくなるので転倒防止に役立つ
- 脚力に自信のない方や、膝が弱い方は、トレッキングポールがおすすめ(特に下り)
- 金剛杖、T字型(1本)、I字型(2本)では、I字型(2本)が断然バランスがとりやすい
以下、詳しく解説しています。
はじめに

トレッキングポールはあくまで2足歩行のサポートに使う道具です。しっかりと身体の軸を2本足で整えた上で、トレッキングポールを活用した方が、安全かつ軽快に登れます。
近年、登山業界にトレッキングポールが普及し、多くの山々で使用する登山者を見かけるようになりました。ただ、あまりにトレッキングポールに頼りすぎる方が散見されるようになりました。
2017/08/01 御殿場ルートを下山
トレッキングポール(ストック・ステッキ)とは?

トレッキングポール(ストック・ステッキ)とは、登山で使う杖です。この道具を使うことで、足にかかる負担を手に分散できるだけでなく、バランスがとりやすくなるので転倒防止に非常に役立ちます。
「NHK にっぽん百名山 富士山」(2013年)に出演された
富士登山ガイドのエキスパートの野中径隆さんによる
”トレッキングポール・ストックの使い方”の講義
トレッキングポール・ストック・ステッキの選び方

T字型

I字型

トレッキングポール(ストック)にはT字型とI字型の2つの種類があります。
T字型の トレッキングポールはグリップがT字型になっていて、一般的に1本で使用します。I字型のトレッキングポールはスキーのストックと同じくグリップがI字型になっていて、一般的に2本で使用します。
私は富士山を、トレッキングポールなし、T字型(1本)、I字型(2本)のそれぞれで富士山に登ったことがあります。(あと、友人から借りた金剛杖で一部分だけ登ったこともあります。)
登りやすさは、
登りやすい <------------------>登りにくい
I字型(2本) >>>> T字型(1本) > トレッキングポールなし、金剛杖
です。以下、個人的な感想です。
トレッキングポールなし

足のみはすべての体重が足にかかるので、トレッキングポールを使う登山に比べて足が疲れやすく、疲労時にふらつきやすく、特に下りでは膝への衝撃が大きくなります。
登山初心者の方は、膝や足の筋肉への負担を軽減する歩行方法を知らないため、特に下りでは勢いを抑制する筋力と膝に負担がかかり、膝痛を引き起こしやすくなります。また、常に足2点でバランスをとらねばならないため、より筋力やバランス力が求められます。

基本的に、登山初心者の方や、脚力に自信のない方、ひざに不安を抱えている方は、トレッキングポールを使うことをおすすめします。
ただ、いままでいろんな方と一緒に山に登って気づいたのですが、トレッキングポールを使い慣れていない方の中にはポールが無いほうが歩きやすい方もおられるため、事前のトレーニング時にご自身がどのタイプか実際使ってみて判断されるのが最良です。
金剛杖

金剛杖は古くから使われている伝統的な登山道具です。杖に直接、焼印を押すことにより思い出にもなります。ただ、岩場のあるルートでは収納・短くできない金剛杖があると登りにくいです。
登山口にある売店で購入することができます。金剛杖を使ったら登山が楽になるかというと、上りは△、下りは○というところでしょうか。平坦な登山道や下山ではバランスをとるのに便利なのですが、登山道にある両手を使うような岩場では重く収納できない金剛杖はかなり扱いにくいです。
友人が吉田ルートの岩場で 「この金剛杖・・・ここで捨てたい。」と放った言葉が今も忘れられません。どれどれ私に貸してみなさいと金剛杖を代わりに持ってあげましたが、岩場では友人の気持ちが理解できました。両手を使いたいのに、木でできたずっしりと重い金剛杖は片手がふさがってしまうだけでなく、その長さゆえ周囲の登山者に当たらないように気を使わねばなりませんでした。
下りではある程度バランスをとるのに役立ちましたが、トレッキングポールのように握りやすく滑らないグリップがない木の棒なので、しっかりと体重をかけにくく、重かったです。

吉田ルート上り、富士宮ルート共に岩場が多数あります。それに比べると須走ルート上り(八合目付近まで。八合目からは吉田ルート上りと合流するため)と御殿場ルートは岩場少なくなります。
上記の内容を踏まえ、それも修行と思える方、古くからの富士登山スタイルで登りたい方向けです。
T字型(1本)

金剛杖と違い軽量でコンパクトに収納できるので重宝します。値段も1本ということもあり、手に入れやすい価格(数千円)です。
T字型(1本)のトレッキングポールは傾斜のきつい登りでは体重をかけにくいためそれほど役に立ちません。下りでは、片側1本のため登山のリズムがあまりでません(ポールを握っている方の手が常に前にでるため、体の向きが正面ではなくポール握った方に傾きます)が、上部に体重をかけやすく(特に握力が弱い年配の方)、下山する時は大いに役立ちます。

経験上、登山時間の長い富士山ではT字型より、両足の負荷をバランスよく軽減するI字型の方がおすすめです。ただ、握力や脚力が弱ったご年配の方には、容易に体重を預けられるT字型を好まれる方も多いようです。(高尾山でT字型ストックを使われているご年配の方が「体重をかけやすい」と言われていました)
I字型(2本)、ダブルストック

足とあわせて4つの支点になるため非常にバランスがとりやすく、慣れれば登り下り共に非常に歩きやすくなります。断然おすすめです!
私がこれをはじめて使ったときに衝撃を受けました。「なっ、なんだこれは!ものすごく登りやすい!」と。もともとT字型(1本)を使用していたのですが、さびて使えなくなってしまいました。そこで買いなおそうとしていたら、友人から「ぜったいI字型(2本)がいいですよ。トントントンって感じで楽ですし。」と言われてしまいました。
「え~、それホント?なんかちょっと信じられないな~。」と言ったはいいものの、どうしようかと悩んでいました。そもそも両手がトレッキングポールでふさがってしまうことにも抵抗がありました。最終的に、友人の助言を信じてI字型(2本)を購入してすぐさま近場の山で使ってみたのです。
実際に使ってみて正直感動しました。もう、登りやすいのなんの。足とあわせて4つの支点になるため非常にバランスがとりやすいのです。このお陰で、強風や足場が悪い場所でも転倒の不安がなくなりました。ストラップにしっかりと手を入れてグリップを握ってポールを適切な長さに調節してあげれば、登り下り共に非常に歩きやすくなります。それ以来、周囲の人にもI字型(2本)のトレッキングポールを勧めています。
2017/08/01 御殿場ルートを下山

最初は疑問に感じる方も多いのですが、実際使うようになると「 これほんと良いね!教えてくれてありがとう! 」という感じで、みなさんに喜ばれることが多いです。私自身も、近年の富士登山ではこのタイプのトレッキングポールを携行しています。
素材
トレッキングポールに使われている素材は、主に
- アルミ(厳密にはアルミニウム合金、ジュラルミンとも言われる)
- カーボン
の2種類あり、それぞれの特徴が違います。

アルミ製とカーボン製の両方のトレッキングポールを使った経験があるので、それを踏まえて解説します。
アルミニウム合金

トレッキングポールの多がアルミニウム合金が使われています。軽量で強度もあり、粘り(しなり)もあります。
通称”アルミ”と呼ばれますが、正確にはアルミニウム合金(亜鉛、マグネシウムなどが混ざっている、超々ジュラルミンとも呼ぶ)が使われています。
北アルプスの縦走登山中に岩の隙間にポールが入って強くしならせてしまい、ポールが曲がってしまったことがあるのですが、曲がってもある程度力で戻すことができます。(完全にまっすぐに戻すのは難しいです)
素材的には多少荒い使い方にも耐えますが、濡れたあとにしっかり乾かさずに放置してしまうと白サビ(白い粉がでる)がでて、トレッキングポールの締りが悪くなります。そのため、雨の日などに使って濡れた場合、使用後に各ポールを分解してしっかり乾燥させるのが長く使うポイントです。
カーボン(炭素繊維)

アルミよりも軽量なのがカーボン製ポールです。錆びは発生せず、アルミ製より数割の軽量化できますが、価格は上がります。
最初はアルミ製のポールを使っていましたが数年に及ぶ過酷な山行の使用で曲がりやサビで使いにくくなったため、次にカーボン製を購入しました。実際に使ってわかったのですが、登山でトレッキングポールを使う時、持ち手部分を支点に振り子のように前後に振るため、僅かな軽量化でも体感的には重量以上に軽くなったように感じました。また、カーボンは錆ませんので、アルミほど気にしなくても良く、折れなければ結構長く使えることがわかりました。(※連結部に金属を使用していることが多く、仕様後はしっかり分解して乾かすのが基本です)
価格の上昇により、すべてが優秀に思えるカーボンですが、弱点もあります。それが、強いしなりが加わると折れてしまうことです。アルミポールであれば、折れることは滅多になく、曲がってしまった状態でも使用できます(短く収納できなくなります)が、カーボンは折れてしまいますので使い物にならなくなります。そのため、カーボン製のトレッキングポールを使うときは、無理な負荷(岩に挟まって思い切りしならせてしまう、など)がかからないよう配慮して使う必要があります。
2014年に購入したカーボン製のトレッキングポールを今(2022年時点)でも使用しています。カーボン自体は全く問題ないですが、グリップなどその他の部分が劣化してきてますね。
トレッキングポールと富士登山の思い出
以下、興味のある方はご覧ください。
人気のトレッキングポール

用意するならI字型(2本)が断然オススメです。最近は、登山ショップに置いてあるメーカー品に比べ、ネットブランド(実店舗で置いていない、ネット専門ブランド)がコストパフォマンスに優れて、購入者の満足度も高いようです。
以下、アルミ製、カーボン製のコストパフォーマンスに優れた製品を紹介します。低価格重視の方にはアルミ製、体力に自信のない方には軽量なカーボン製をおすすめします。
DABADA 軽量アルミ製 トレッキングポール 2本セット アンチショック機能付(220g/本)
登山系の通販ランキングで長年上位に入っている、トレッキングポールです。
- 原産国:中国
- 製品安全協会承認品(SGマーク取得)
- 新品、2本で1セットです。
- サイズ:収納時56.5cm 使用時 最長120cm
- 重量:約220g(1本)
- 素材:アルミニウム合金7075
- 付属品:取扱説明書・トレッキングキャップ×2 バスケット×2

登山系の通販ランキングで長年上位にいるトレッキングポールです。2本セットで3千円程度と低価格で45,000本の販売実績があります。
DABADA という、登山ショップではほとんど見ることの無いメーカーですが、楽天やamazonでは、トレッキングポールランキングで数年に渡って上位に位置しています。
ある程度の製品信頼性を確保しながら、2本セットで3千円程度と非常に高いコストパフォーマンスであることが人気の背景にあるようです。ネット限定商品ですが、非常に普及しているため登山中に使っている方を見かけたことがあります。グリップがコルク製で、フィット感がよく握りやすいと思います。
ポールの長さは 最長 120cm なので、長身の方以外は大丈夫だと思います。身長の大きな方は130cm程度まで伸びるものを使ったほうが良いでしょう。(私は身長176cmで最大130cmまで伸びるトレッキングポールを使っていますが特に長さ不足を感じたことがありません。過去に120cmのを使った時は下山するときに少し短いなと感じました)
さらに、アンチショック付きなので、肘への負担も軽減されます。
近年、トレッキングポールの普及に伴い登山中にポール先端のキャップが外れ、登山道のあちこちに散乱してしまっているのが問題になっていますが、スクリューキャップで外れにくくなっているのもポイントが高いです。(ただし、このタイプはキャップなしで使い続けると岩などに当たりスクリューが徐々に削れてキャップが付きにくくなります)
約220g(1本)、2本で440gは、多数あるアルミ製トレッキングポールの中でも軽量な部類に入ります。普通の登山ショップで販売されているトレッキングポールは、同程度のものでも2倍以上の価格になるため、コストパフォーマンスに優れています。同社製品で、より軽量なカーボン製のトレッキンポールもあります(カーボンポールは1本175g/¥5,000)ので可能な限り軽量化したい方はそちらもぜひ検討されてみてください。
amazonのカスタマーレビューの中に、実際に富士山で使われた方のレビューがありましたので、掲載します。
(レビュー数は楽天で6,749件、amazonで4,461件と非常に多いです。商品説明が楽天の方がわかりやすいです。)
DABADA 軽量カーボン製 トレッキングポール 2本セット アンチショック機能付(175g/本)
- 原産国:中国
- 新品、2本で1セットです。
- サイズ:収納時61cm 使用時 最長125cm
- 重量:約175g(1本)
- 素材:カーボン製(軽くて丈夫! 炭素繊維なので錆びる心配はありません)
- 付属品:トレッキングキャップ・バスケット(各2個)・取扱説明書
DABADAのカーボン製トレッキンポールです。アルミ製は220g/本でしたが、カーボン製は175g/本と1本あたり45g、2本持ちでは90gも軽量化できます。またポールの長さが最大125cmとアルミ製より5cm長くなり長身の方でも使いやすくなっています。ただ収納時の長さがアルミ製56cmだったのがカーボン製では61cmとデイバックだと長さが気になるサイズです。価格がアルミ製は3000円程度、カーボンは5000円程度と多少価格あがりますが、カーボン製は軽い錆びないで扱いやすいため、予算に余裕があるのならこちらがおすすめです。
- 夫婦共用でも十分(2020年12月4日):昨年から近場の山をハイキングからちょっと毛が生えた位の登山に夫婦で行き始めました。登山用ストックを持たれている方も多かったので、夫婦別々に買うように検討していたのですが、これは丁度良い長さに調整できる仕様だったので、試しに購入しました。2回登山に使用してみましたが、軽くて、コンパクトに収納もでき、体重を掛けても十分な強度で気に入っています。
- とにかく軽い!(2021年7月5日):以前も登山にアルミのポールを使用していましたが、このカーボンのポールはそれよりもはるかに軽いです。林道になって要らなくなって、リュックにつけても、重さを感じません。
トレッキングポール 折りたたみ式 2本セット 超軽量 アルミ&カーボン(240g/本)
- 重さ:レッド/約230g、ブルー/約240g(1本当たり)
- 長さ:レッド/100~115cm、ブルー115~130cm
- 収納サイズ:35cm
- 付属品:キャリングバック 2枚、タイラップ2個,ラバーキャップ2個, バスケット2個
- 【保証期間】6ヶ月
このトレッキングポールは、最軽量ではありませんがコンパクトに収納できるのが特徴です。使われるザック(リュックサック)にサイドポケットが無い場合、収納時サイズが50~60cmになるトレッキングポールは適切に入れておく場所が無りません。このポールは収納サイズが35cmと短いため登山で使えるリュックであればほぼほぼ収納できます。
ただ、この形状のポールはその段数が多く連結数が増えるほど重量が増え、かつポールが折れやすい部分は連結部分であるため故障リスクも上がる傾向があります。このポールはカーボン(1,2段目)、アルミ合金製(3,4,5段目)で超軽量かつ強度もしっかり確保しているようです。また、レバーロック式で長さ調整も簡単、素早くロックできます。
男性向けと女性向けがあります。(重さ:レッド/約230g、ブルー/約240g(1本当たり)。長さ:レッド/100~115cm、ブルー115~130cm)
楽天でランキング上位の製品ですので、レビューも多数付いています。ご参考に。
- 軽い、コンパクト、収納性☆☆☆(2021-11-13):期待通りの良い商品でした。軽いです。これなら、重量を気にして持って行こうかどうか迷うことないですね。コンパクトです。前使っていたのが、58センチでした。ザックに入らないし、ザックの横に収納しようとすると妙に邪魔くさい。先端が尖ったままで、電車内での持ち運びは不便。そんな悩みを解消するコンパクトさと先端部用のキャップ。これなら、コンパクトで良いです。収納性抜群です。専用の袋があるので、ザックを傷めずに収納できます。10,000円を超える商品とっては当たり前のことかもしれませんが、この安価でその悩みを全て解消してくれて、非常に満足しています(^_^)
(楽天レビュー数:546件)
大手ネット通販の売れ筋ランキング
個人的にはI字型(2本)がおすすめです。
今何が売れているのか、どんなものが高評価なのか、非常に道具選びの参考になります。
amazon「トレッキングポール・ストック・ステッキ」の売れ筋ランキング
楽天「トレッキングポール・ストック・ステッキ」の売れ筋ランキング
まとめ
- 慣れれば、足にかかる負担を手に分散できるだけでなく、バランスがとりやすくなるので転倒防止に役立つ
- 脚力に自信のない方や、膝が弱い方は、トレッキングポールがおすすめ(特に下り)
- 金剛杖、T字型(1本)、I字型(2本)では、I字型(2本)が断然バランスがとりやすい
近年、登山業界にトレッキングポールが普及し、多くの山々で使用する登山者を見かけるようになりました。ただ、あまりにトレッキングポールに頼りすぎる方が散見されるようになりました。トレッキングポールはあくまで2足歩行のサポートに使う道具です。しっかりと身体の軸を2本足で整えた上で、トレッキングポールを活用した方が、安全かつ軽快に登れます。

山の歩き方を別ページにまとめました!
装備・持ち物リスト

10年以上の登山経験を元に作成しました。安全・快適な登山の参考になれば幸いです。
こちらを使用して富士山に登りましたが、とっても使いやすく、これからの相棒になりそうです♪大切に使います!