富士登山@2023年(令和5年度)2022年(令和4年)度 富士山の開山期間は、2022/07/01(金)~09/10(土)でした。
現在は主要な登山道は閉鎖されています(詳細は富士登山オフィシャルサイトでご確認ください)
2023年度の夏の開山時期の登山情報は公開され次第、順次掲載する予定です。
- 天気が良い日帰り登山なら滑り止め付いた軍手で十分
- 雨強風の時は、防水グローブが活躍する(ウインターグローブでも何とか代用可)
- 山頂付近でご来光見る方は、確実に寒いので、防寒防水グローブ(ウインターグローブでもOK)を用意しましょう
以下、詳しく記載しています。
富士山のデコボコ&角のある岩から手を保護する

富士山を登る上で、手袋・グローブは溶岩をつかむ時、日焼け、転倒時に手を保護し、皮膚の損傷を軽減してくれるだけでなく、防寒装備としても重要な重要な役割を担います。
登りルート

富士山は火山により形成された山であるため、その昔に溶岩が流れ出て固まった岩場が多数あります。
もちろん、登山ではその上を登っていきます。御殿場ルートは手を付いて登るような場所は無いですが、登山者の多い吉田ルート、富士宮ルートは、岩を掴んで登るような箇所があります。
富士宮ルート 九号五尺付近 傾斜がきつく、固まった溶岩はとても尖っていて歩きにくい
吉田ルート登り 八合目付近 デコボコです
このような、ごつごつした岩盤に手を付きながら登るような岩場では、みなさん「ここで転んだらまずい、慎重に登ろう」となるでしょう。そのため、ここで転んでる方を見たことがなく、実際少ないと思います。ただ、疲れで少しバランスを崩してしまい、思わぬところに手を付いてしまうことはあるかもしれません。

この溶岩石は非常に硬くデコボコしていますが、手袋をつけることで手の損傷を最小限にすることができます。
下りルート

どの下山道でも、砂や小石の上に岩ゴロゴロと転がっている道になっています。(岩の量や大きさは場所によって差があります)
吉田ルート 下山道
御殿場ルート下山道
登りで転倒するケースは少ないとは思いますが、下山中に滑って尻もちついてる登山者の姿はよく見かける光景です。河原で見かける角のとれた石と違い、富士山の登山ルートに転がっている岩や小石は尖っています。(登山道と下山道共に)
砂礫は尖っているため、持つと皮膚に引っかかる感じがある(吉田ルート登山道八合目付近で撮影)

転ぶと反射的に手を地面に付けますから、手袋を付けることで、手の皮膚の損傷を防ぐことができます。
防寒対策

手袋による防寒対策は、天候、時間、標高によって変わってきます。
日中の好天時の登山
天気の良い日に五合目登山口から登ってしばらくは、気温が高いため手袋を付けずに登ることもあります。徐々に標高があがり、七~八合目付近まで来ると明らかに気温が下がり、風も冷たくなってくるため、薄手の手袋をはめると良いでしょう。
ご来光のための早朝登山、ご来光待ち

早朝1~2時に山小屋を出発して、山頂でご来光を眺める方は、厚手のグローブを持っていくと良いでしょう。(特に女性の方)
夜明け前の山頂付近は・・・なんと、気温が0℃~5℃
それに風が吹いていると、体感温度はさらに下がります(風速1mで体感温度-1℃下がると言われている)。まさに冬です。その寒さの中、30分以上にわたってじーっと少しずつ上り始めるご来光を見続けるとなると、しっかりとした防寒対策なしには厳しいです(防寒着の準備不足で寒くてじっと眺めることができず、体温上げるために立ったり座ったり動いている方々を多数見かけます)。特に女性の方は、冷えに敏感な方が多いので、雨でなくてもご来光登山する方は、ウインターグローブを持っていくのをおすすめします。
因みに、私が富士山を泊りがけでいくようなときは、厚手のメリノウール製ライナーを使用した雪山用の防寒防水グローブを持っていきます。
これで雨でも、強風でも、たとえ雪が降っても全く問題ありません。私はたまたま雪山登山もするので本格的な防寒防水グローブを持っていますが、夏の富士登山のためだけに、ここまでは不要です。もっと手ごろな価格の防寒グローブを用意するか、もしくは家族や友人に借りるなどして対応するのをおすすめします。
ウインタースポーツ用(スキー、スノーボードなど)のグローブを持っている方は、それでもある程度対応できます。(ウインタースポーツ用のグローブの多くが、完全防水ではないため、長時間の雨になると水が染みこんできますが、それでも軍手に比べるとはるかに良いです)
安価な軍手で大丈夫!?
おそらく富士登山No.1の装着率を誇る軍手について、個人的経験も踏まえて考えてみたいと思います。
天候が良ければ軍手でもOK
手袋といっても手軽に購入できる軍手から、アウトドアショップで売られている数千円する登山用の防水手袋までいろいろあります。富士登山において手袋は必須アイテムですが、天気がよければ個人的には軍手で十分だとおもいます。

軍手の中でも滑り止め加工された軍手がおすすめです。
ストックや岩場に手をかけたときにもグリップが効いてとてもいいです。
「滑り止め軍手・手袋」の人気・売れ筋ランキング
雨強風の時に軍手は力不足
大雨の富士登山(2010年)
私が富士登山を始めた当初は軍手のみで登っていましたが、ある時下山中に雨が降ってしまいました。もちろん軍手はベチャベチャに濡れ、気温が低く、風も吹く中で何時間も下山。もう、手が冷たくて冷たくて・・・この経験から、軍手で事足りるのは天候の良い日の日中登山に限ったことで、変わりやすい山の天候で長時間歩き続けるには力不足だ、とわかりました。

富士山は標高が高いほど気温が低く、軍手が水濡れすると保温力が無くなり、まるで冷蔵庫の中に手を入れているかのように、めちゃくちゃ手が冷たくなります。
その経験以後、好天時に着用する薄手の手袋とは別に、防水性能のあるグローブも持っていくようにしています。
日帰り登山であれば、ベチャベチャ軍手でもなんとか我慢できるかもしれませんが、山小屋宿泊でご来光登山する方は、1日目に軍手が雨で濡れてしまい、翌日濡れた軍手で深夜登山&ご来光待ちはあまりにも厳しすぎます。
1泊登山で軍手で登る場合は、最低限変えの軍手をもう1セット用意するか、最初から防水グローブを事前に用意するのがよいでしょう。
登山用の防水グローブの紹介

「多少の雨でも富士山登る予定です」という方は、防水グローブがあった方がよいです。安価な物なら、1000円以下で購入できます。
「晴れの日しか登らないよ!」という方は軍手でいいかもしれませんが、「多少の雨でも富士山登る予定です」という方は、防水グローブがあった方がよいです。長時間におよぶ雨の富士登山となっても非常に快適に心にも余裕を持って登れるようになります。
数ある登山用品の中でも、グローブは非常に相性の問われる商品です。人によって、手の大きさ、指の太さ、指の長さが違うため、購入を検討しているなら、実際の登山用品店で試着して購入するのがおすすめです。
登山向けのレイングローブは多数あるのですが、以下普及している製品をご紹介します。
ショーワグローブ テムレス(おすすめ)

近年、登山界を賑わせている防水透湿のグローブといえば、このショーワグローブのテムレスです。園芸・業務用のグローブですが、その性能の高さゆえ、知ってる人は使っているマル秘グローブです。
安価な防水手袋といえば、ゴム手袋を連想するかもしれませが、透湿性能の全くないゴム手袋は着用後にさほど動かなくてもすぐに蒸れてしまい、登山用としては快適ではありません。また、着用後も中のグローブ内の湿気がこもりがちですぐに臭くなる(雑菌が繁殖する)ようになります。
テムレス(”手が蒸れない”から商品名が決まったそうです)は、透湿性があるため、着用中もムレにくく、着用後もグローブ内部が乾きやすいです。
また、園芸用であるためグリップも良く、デザイン性を除けば登山用としてコストパフォーマンスに優れた防水透湿グローブと言われています。
体験談
私自身も登山用に所有していますがグローブ自体に伸縮性があり、手を広げると伸びます。
表側はザラザラしていて、かなりのグリップ力があります。裏布は少しザラザラしていて、装着した時のペタつく感じがあまりありません。サイズ感については、私は身長・体格の割に、手が小さく指が細い(女性とそれほど変わらないことも)ため、Mサイズでちょうどよいです。男性の場合は、Lサイズ以上が良いかもしれません。
私自身も、テムレス(シンプル)で、雨天時の登山に使った経験ありますが、確かに浸水せず、見た目を除けばコストパフォーマンス抜群、これでは一般に販売されている登山用レイングローブは太刀打ちできないな、と感じました。
汎用製品ですので、グローブのサイズ感は指が太い方でも使えるゆったり目です。軍手の上からでもはめられる程度の少し大きめサイズを選ぶと、雨天時はもちろんのこと、ご来光待ちでも防寒アイテムとしての汎用性が上がります。できるだけコストをかけずにレイングローブを用意したい、という方に最適な製品です。
数種類ある
テムレスは、元々、汎用・作業用として
- テムレス(シンプル。約600円 見た目を気にしなければ、これで十分)
- ジャージテムレス(裾口ジャージが手首にフィット。約650円)
- 防寒テムレス(内側にやわらかいボアタイプの裏起毛。約1200円)
の3モデルが販売されています。







その後、青テムレスを登山用途で使う方が増えたため、2021年、メーカー側が3シーズン向けのテムレスグローブを製品化しました。
- TEMRES 03advance(カフあり)
- TEMRES 04advance(カフなし)

汎用品のテムレスと比べて、全長が長くなったり、03はドローコードを備えたカフが付いたり、04も入れ口が縫製されていたり、よりアウトドア用途に沿ったグローブとなっていますが、最大の特徴は色が黒いことです。
購入した04の写真(クリックで拡大します)
汎用テムレスでは、作業用と言わんばかりの青色が際立っていましたが、アウトドア向けテムレスでは黒色になり、よりアウトドアウェアに馴染み、気兼ねなく使えるようになっています。
2021年新発売のされたTEMRES 03 or 04の価格は青テムレスより多少高くなっています(といっても1,500円程度)が、防水グローブとしてアウトドア(登山・ハイキング・自転車等)で何度も使う可能性があるのであれば、アウトドア向けテムレスが断然おすすめです☆
汎用テムレスについてはamazonのカスタマーレビューを見ると、登山で使っている方のレビューがあり、評価も非常に高いです。アウトドア向けテムレスは2021年に発売されたばかりでレビュー少なめです。
- [テムレス]富士登山用に購入(2018年8月17日):雨風がすごいなか富士5合目から頂上まで着用しました。まったく水が入りませんでした。
- [テムレス]バックカントリーや雪山登山のハイク時に使う手袋で最強(2017年12月26日):普段はダサくて使わないのですが、本気の山に行くときに使います。登りの時はモンベル等の手袋を使用しているとすぐに手袋が濡れてびちゃびちゃになり、標高が高くなるころには手が冷たくなります。しかし、テムレスはそれがありません。どんなに汗をかいても汗を逃がしてくれて手が冷たくならないのです。手もびしょびしょになりません。 【こんな方にお勧め】 ・デザインどうでもいいから機能性が良くて価格の安いものをお求めの方 ・登りのときに手汗がすごくて手がびしょびしょになって困っている方
汎用テムレスを実際に使っている方のyoutube動画もありましたので、参考になるかと思います。
アウトドア向け黒テムレスの登場により、今まで以上に登山用レイングローブの有力候補になっています。TEMRES 03advance(カフあり)とTEMRES 04advance(カフなし)ありますが、経験上、カフ使うのはオーバーグローブとして使う主に積雪期が多く、夏の富士登山用としては価格の安い04で十分です。

富士登山用の防水グローブとして、青色のテムレスNo281か、TEMRES 04advanceのどちらかを選べば十分でしょう。
サイズ選び

サイズ選び関しては、メーカーWebサイトを見る限り、手のひらまわり、中指長さの2つを基準に選びます。青テムレス(No.281)もTEMRES 04advanceも同じ製品寸法になっています。
- Sサイズ:手のひらまわり 18.0 cm、中指長さ 6.9 cm
- Mサイズ:手のひらまわり 20.0 cm、中指長さ 7.2 cm
- Lサイズ:手のひらまわり 22.0 cm、中指長さ 7.8 cm
- LLサイズ:手のひらまわり 24.0 cm、中指長さ 8.3 cm
- 3Lサイズ:手のひらまわり 27.0 cm、中指長さ 8.3 cm
メーカーの製品リンク
私はテムレス2種類持っていますが、どちらもMサイズ(手のひらまわり 20.0 cm、中指長さ 7.2 cm)です。自分の手のサイズ測ったら、中指長さが8.0cmあり、Mサイズだと指先はジャストサイズより少し短いといった感じです。ただ、指周りは余裕があるため、薄手の軍手付けるのは可能です。私は実店舗で試着して購入したのですが、「指先でカメラのボタン操作など細かな作業ができるように」とこのサイズを選びました。(指先がダブついていると指先を使う細かな作業が厳しいです)軍手の上からつけるならもうワンサイズ上のLサイズが良かったと思います。
実店舗で試着出来る方は良いですが、通販購入でサイズ選びで迷った場合は、大きめを選ぶと良いです。小さいとキツくてつけていられないですが、多少大きくてもよほど細やかな指先を使う作業しないかぎり、特に問題にならないためです。因みに青テムレスはビニール包装されて販売されていて基本試着できません。TEMRES 04advanceは包装なしで販売されていますが、結構大きなお店でないとサイズがなかったりしました。気になる方は、最寄りのアウトドアショップに在庫があるか問い合わせてみてください☆


イスカ ウェザーテック レイングローブ
- 生地:甲側/ナイロン(ウェザ-テック)、平側/ポリウレタン
- サイズ:S・M・L
- カラ-:ブラック・ロイヤルブル-・レッド
登山用品店で扱っていることの多いレイングローブです。ウェザーテックという防水透湿素材が使われています。摩耗しやすいところは補強されています。ISUKAは日本の登山用品メーカーで、主力製品は山岳用シュラフ(寝袋)ですが、それ以外の製品もわずかに作っていて、その一つがこのグローブです。完全防水のレイングローブとしては価格も手頃で、日本メーカー製なので日本人の手に合いやすい形状になっています(海外メーカー製グローブは指が長すぎることも)。ロングセラー商品なので、amazon等でもレビューが複数掲載されていますので、ご参考に。
- 防水性、防風性は文句なし(2019年2月22日):登山時の悪天候から手を守るために購入。防水防風性能が高く、この手袋を持っているだけで登山中の安心感が大幅に上がる。サイズはややタイト。インナー手袋を併用したい場合はワンサイズ上げることをオススメする。デザインはやや地味だが、出番が少ない手袋なので、あまりマイナスには感じない。
(色はブラック・ロイヤルブル-・レッドの3色種類、サイズはS・M・Lあります。)
その他
他にも防水グローブはさまざまなメーカーから販売されています。大手通販サイトを見ると、見たこともない本当に防水?(何度も指先を屈曲させて握る圧力のかかるグローブの防水加工は実は難しい技術のため)と思われるグローブが格安で販売されています。
まとめ
- 天気が良い日帰り登山なら滑り止め付いた軍手で十分
- 雨強風の時は、防水グローブが活躍する(ウインターグローブでも何とか代用可)
- 山頂付近でご来光見る方は、確実に寒いので、防寒防水グローブ(ウインターグローブでもOK)を用意しましょう
装備・持ち物リスト

10年以上の登山経験を元に作成しました。安全・快適な登山の参考になれば幸いです。