夏には数十万人もの登山者が山頂を目指す富士山。
多くの人々が美しく雄大な日本を象徴する山で感動していることでしょう。
しっかりとした事前準備、約10時間の運動に耐えられる体力、服装、装備があれば初心者でも登頂しやすい夏の富士山ですが、冬になると毎年死者を出すほどその様子は一変します。
冬富士は見るには美しいですが、登山においては「白い魔境」、「恐怖の雪山」、「難易度はエベレスト級」などと呼ばれています。
今回、2005年から2012年にかけて厳冬期の元旦の冬富士登山に挑戦し続けていいるSさんから非常に生々しい体験談を聞くことができました。
対談を終えて、冬富士は、安易な挑戦はせず、挑戦するならそれ相応の準備と覚悟を持って挑むべき山であると深く感じました。
目次
対談の衝撃的な内容
対談者自己紹介
登山・登攀のエキスパート Sさん |
当サイト管理人 M・T (2012/05/24 富士山の山頂の鳥居前で) |
M・T | 今日は厳冬期である元旦の冬富士登山についてお話していただけるということですが、よろしくお願いします。 |
Sさん | よろしくお願いします。 |
M・T | 簡単に登山経歴を教えていただけますか? |
Sさん | 日本の山だと、夏と冬の富士山や谷川岳、厳冬期の北アルプス縦走など登ってます。 |
M・T | それは、すごいですね。 |
Sさん | 海外の山だと、初めて登ったのはマッキンリー(6,194m、北米大陸の最高峰)、マッターホルン(4,478m、スイス・イタリア国境)とかモンブラン(4,810m、フランス・イタリア国境)や新疆ウイグル自治区(しんきょうウイグルじちく)の5000mとか8000mちょうどくらいの山を登りました。 |
M・T | もはや私には想像つかない異次元の世界ですね(^_^;)すご過ぎます。冬富士には何度登られたんですか? |
Sさん | ここ8年連続で1月に登っています。そのほとんどが元旦ご来光登山です。 |
M・T | すべて登頂されたんですか? |
Sさん | 初年度だけ、途中下山しましたが、それ以後の7回は無事に登頂できています。 |
M・T | 初年度はなぜ途中下山したんですか? |
Sさん | 初めての冬富士だったのですが、完全になめてましたね。冬期北アルプス縦走したし、大丈夫だろうと挑んだのですが見事にはね返されました。 |
M・T | 何に、はね返されたんですか? |
Sさん | 斜面の氷ですね。アイスバーンがやばかったんです。 |
厳冬期の冬富士の難易度
M・T | 登山のエキスパートのSさんですが、冬富士の難易度はどの程度なんでしょうか? |
Sさん | 時期にもよりますが、厳冬期の1~2月の富士登山の難易度は七大大陸最高峰(マッキンリー、キリマンジャロなど)の夏の気候が安定した時期より難しいか同じくらいです。 |
M・T | えっそうんなんですか? |
Sさん | マッキンリーにしても夏であれば、スキーはいて登れるんですよ。もちろん、クレバス落下防止や高所技術や時間はかかりますけど、クレバスに落ちないように登っていけば行けちゃいます。寒いですけどね。上のほういけば-45℃とか普通ですけど。 |
M・T | やばいじゃないですか! |
Sさん | アイゼン付けるかもしくはスキー履いて登れば行けるんですよ。ただ、冬富士はそんなものの比ではないんですよ。何より冬富士はアイスバーンがやばくて、風がつよいんですよ。年平均で風速10mぐらいですから。そして冬富士は気圧が20hpa程度低いので3776mの標高でも実質4000m級の標高になります。
※補足解説) |
冬富士の風
M・T | 厳冬期の富士山の風はどんな感じですか? |
Sさん | とにかく、冬の富士山は強烈な風が吹きます。だいたい風速10m(時速で36km)くらいですかね。基本的に、冬型の気圧配置になると北西風が吹きます。場合によっては西風、南西風になります。とにかく風がどの方角から吹くのかは非常に重要で、登山前に確認が必須です。 |
M・T | なるほど。 |
Sさん | 北西風が吹いて、御殿場口から登った場合は富士山の山頂を挟んで、ちょうど反対側から登ることになりますので、風が穏やかになります。ただ、頂上に近づくと回り込んだ風が吹いて突風となり、体が浮くほどの突風の場合もあります。突風は上のほうからゴーーー!と鳴りながら、下りてきます。雪あれば雪煙で見てわかります。
|
M・T | 体が浮くほどの風ですか! |
Sさん | しかも山頂近くになると斜度45度くらいのカッチカチの氷でできたアイスバーンですから、耐風姿勢をとっても体が突風に持っていかれることもあります。 |
M・T | う~ん、こわいこわい。 |
Sさん | あと、2008年か2009年の元旦に登ったときですね。異常気象だったんですよ。めちゃくちゃ雪が多くて、海からの南西の風が吹いていて、すごく湿った強風だったんですよ。御殿場口から登ると風にめちゃくちゃあたりますから、服がバリバリ凍ってきて自分が海老の尻尾みたいにバリバリに凍った感じですね。 |
M・T | 南からの風は凍傷の危険性とそもそも横風を思いっきりくらうので危険なんですね。 |
冬富士の氷・アイスバーン
M・T | 冬富士の氷・アイスバーンはどうなんですか? |
Sさん | アイスバーンはガッチガチに凍って、アイゼンの刃がまったく刺さりません。そして風で飛ばされそうになって滑りそうになって耐風姿勢をとりたいのですが、そうすると滑って滑落しそうになるので、耐風姿勢のとりようが無いんです。 |
M・T | えっそれじゃどうするんですか? |
Sさん | どうしようも無いので、そうなる前に逃げるしかないです。石垣の陰とかに隠れるか、それができないなら覚悟を決めてガッて耐風姿勢をとるしかないです。 |
M・T | 少し思ってのですが、そもそも通常のピッケルではなくて、アイスクライミング用のアイスアックスを使ったら良いんじゃないですかね?
※補足解説) |
Sさん | う~ん、何度か叩けば刺さると思いますが、冬富士の氷はアイスクライミングの氷よりは固いですね。冬富士の氷は密度が高いですから。
※補足解説) |
M・T | そうなるとぜんぜん登れないのでは? |
Sさん | アイスバーンにも柔らかいアイスバーンもあるので、そこを狙って登ります。固いアイスバーンは何やってもダメなんで、柔らかいアイスバーンを狙ってガッとアイゼンをある程度刺して進みます。 |
M・T | 固いアイスバーンと、柔らかいアイスバーンをどうやって見分けるんですか? |
Sさん | だいたい見ればわかります。目で見て色が違うんですよ。簡単に言うと、冷蔵庫の霜のような白く濁った色の氷や、完全に透き通っている氷が固いアイスバーンです。柔らかい氷は白色なんですが、なんか盛り上がっているんです。それが沢みたいな感じになっているので、そこを狙って登ります。 |
M・T | へ~、そうなんですね。 |
Sさん | アイスバーンのでき方もいろいろありますからね。風でできたり、雨でできたり、日光でできたりしますから。日光でできた氷は日光で雪の表面が溶けて凍ったものなので、氷のしたはふかふかの雪ですからたいしたことありませんが、風でできた氷はやばいですね。 |
M・T | そんなに風でできたアイスバーンはやばいんですか? |
Sさん | 何回も雪が降って雪の重みで固くなるじゃないですか。風が強いんで上の雪が吹き飛ばされて下の硬い部分が表に出てきます。その固い雪がどんどん強風で磨かれたり圧雪されて、どんどん固くい氷になるんです。その氷はやばいです。まるで表面がボコボコしたスケートリンクです。 |
M・T | スケートリンクですか。。。 |
Sさん | アイゼンを蹴りこまないと刺さりません。ただ足を乗せるだけではキシッと音が鳴るだけでぜんぜん刺さりません。そもそも蹴りこんでも刺さんないくらい固い氷ですから。 |
M・T | それはやばいですね(^_^;) |
Sさん | そんな氷でできた斜度45度のアイスバーンの上を風速10m以上、場合によっては20mくらいの状況で登るのは無理なので、ゼッタイに近づいてはいけません。吹き溜まりや氷のもろいところを狙って進まねばなりません。 |
M・T | すべて固いアイスバーンのときはどうするんですか? |
Sさん | 気象条件によってはありえるのですが、その時はもう富士山を登れません。たとえ何とか登ったとしても、下りが非常に危険です。 |
M・T | 確かに、上りより下りの方が難しいですからね。 |
Sさん | あと5、6月になると温かいので雨が降るんですよ。それが深夜に凍ってアイスバーンになるのですが、それも氷の密度が高くキケンです。あと4月、5月はとても積雪が2~3mと多いんですよ。鳥居が触れちゃいますよ。そうなると氷が雪で埋まるので、わりとフツーの冬山登山になります。 |
冬富士の雪崩
Sさん | 富士山で起こる雪崩には、大規模な「スラッシュ雪崩(底雪崩)」と人為的に起きやすい「表層雪崩(新雪雪崩)」があります。スラッシュ雪崩は巨大な雪崩で、平成16年12月5日に富士スバルライン土砂災害は山頂付近で発生したスラッシュとなり雪の無い斜面を数キロ下り自動車数台を巻き込んだようです。
表層雪崩
スラッシュ雪崩 |
M・T | スラッシュ雪崩はすごいですね。こんなの食らったら一瞬で死にますね。雪崩の起きやすい時期があるんですか? |
Sさん | 積雪のある時期は雪崩が起こりえます。雪崩れる場所は季節によって決まっているんですよ。だいたい富士山の東側にある須走口の方は雪崩やすいですね。障害物が何も無いですから。表層雪崩はほとんど人が人為的に発生しますね。スラッシュ雪崩は根こそぎですね。富士山は活火山ですから地面が温かいです。それで地面側から雪が溶けて弱層になるので、ドドーンと巨大な雪崩が起きます。 |
M・T | なるほど、そういう原理でスラッシュ雪崩が起きるんですね。とてもわかりやすいです。 |
Sさん | スラッシュ雪崩が起きやすいのがゴールデンウィークくらいですね。 |
M・T | ゴールデンウィークは登山者が多くなる時期ですよね。 |
Sさん | 5合目くらいまでは雪崩が起き難いですが、6合目、7合目くらいの東斜面は雪崩やすいです。 |
冬富士の登山ルート
M・T | いつも登られるルートはどこですか? |
Sさん | 御殿場口ルートを登ります。5合5勺くらいから、測候所の人が使っていた安全柵を呼ばれる鉄柵(無人化に伴い撤去中のようです)が頂上の測候所まで続いるので、それに並行する感じで登っていきます。測候所の人の通勤ルートですね。8合目からは避難所と呼ばれる石垣の囲い(風除け)が5ヶ所あるので、それを利用しながら登ります。 |
M・T | 他にもルートがありますが、なぜ御殿場ルートなのですか? |
Sさん | 基本的に冬場は北西から風が吹きますから、南東から登る御殿場ルートは比較的風が穏やかになります。北西風の強風の中、吉田口から登ると右側から、富士宮から登ると左側から強風が吹いてきて凍傷確実ですし、常時風速10mくらいある中で、アイスバーンはこけて滑落します。吉田口は雪崩が起きるのでまず無理です。 |
M・T | そうなると、厳冬期の富士登山は御殿場からのみになりますね。過去登ったのはすべて御殿場ルートですか? |
Sさん | そうです。他のルートは恐くて登れません。 |
M・T | Sさんが恐いというくらいなら、厳冬期の富士登山するなら御殿場ルートしかないですね。 |
冬富士登山のタイムスケジュール
M・T | いつも元旦に富士山登るときのタイムスケジュールはどうなんですか? |
Sさん | 31日に前泊して1日に登り始めます。31日には御殿場ルートの0合目に車を置いて、6、7合目くらいにある測候所の避難小屋の裏にテントを張って、早朝1時から上り始めます。 |
M・T | 朝早いですね。朝は何度くらいなんですかね? |
Sさん | う~ん、たぶん-15℃くらいじゃないですかね。テントでは、シュラフなしの防寒着とザックで寝ます。 |
M・T | -15℃でシュラフなしって、もはや変態ですね。たぶん普通の人は耐えられないですよ。 |
Sさん | はっはっはっ。そうですね。日の出には山頂からご来光を眺めています。下山はテント立てた場所まで2時間弱で下山します。下山のときは、斜面が緩んできたところからファンスキーで下りることもあります。 |
M・T | お鉢めぐりはするんですか? |
Sさん | 天候次第ですね。行ける時はいきます。ただ、山頂はめちゃくちゃ風が強いんですよ。富士山の火口に風が巻いちゃうので、いろんな方向から強烈な風が吹いてきます。 |
M・T | なるほど。 |
Sさん | 冬の富士登山は、本当に難しいですからね。何より事前の気象情報の確認が非常に重要です。気象情報がわからないと行くのかやめるのか、判断できません。風が南風ならやめた方がいいですしね。 |
実際にあった事故・アクシデント
M・T | 過去何度も厳冬期の冬富士に登られていますが、危険な状況になったこと、アクシデントなどありましたか? |
Sさん | 2008年か2009年の元旦に登ったときですね。異常気象だったんですよ。めちゃくちゃ雪が多くて、海からの南西の風が吹いていて、すごく湿った強風だったんですよ。御殿場口から登ると風にめちゃくちゃあたりますから、服がバリバリ凍ってきて自分が海老の尻尾みたいにバリバリに凍った感じですね。 |
M・T | それはヤバイですね(^_^;) |
Sさん | 左後ろくらいから吹いてきたんですけど、なぜか前からも強風が吹いてきたんですよね。たぶん風が巻いてるんでしょうね。それでヤバイと思って耐風姿勢をとったんですが、ドーンと風に飛ばされて9合目くらいからバーンと滑ってしまいました。 |
M・T | えーーーーー!!!!滑ったんですか!!! |
Sさん | うわーっと体がもっていかれて、滑ったときは「ああ、死んだ」と思いましたね。 |
M・T | よく生きてましたね(^_^;) |
Sさん | 氷の斜面を滑落して、クルッと回って、すぐにピッケルで氷を刺しました。が、ガガガガッと固い氷にはじかれて、ビヤーとそのまま落ちていきました。
雪山・冬山の滑落停止技術 in 冬富士 富士山登山ガイド 野中径隆 |
M・T | ひえ~~~~! |
Sさん | ピッケルが刺さらずにしばらく滑り落ちていたら、途中で氷が柔らかくなっていたのか、ピッケルがガクン!!!と刺さってムクッと起き上がることができました。 |
M・T | 9合目付近から何メートルくらい滑落したんですか? |
Sさん | たぶん50mくらいの滑落だと思いますよ。でもあんまり覚えてないんですよ。滑落停止も条件反射ですからね。逆に条件反射でできないとヤバイですから。何年も前から本格的な滑落停止の訓練はしていますから。 |
M・T | 滑落した後は下山したんですか? |
Sさん | そのまま登って登頂しました。 |
M・T | ご無事でなによりです。それ以外にもなにかアクシデントはありましたか? |
Sさん | 富士山の突風で吹っ飛ばされるのは良くあるんですけどね。滑落も良くあります、体重が軽いので。あと数百メートルくらい離れた右側でドドーンと雪崩が起きたりとか。あと、休憩していたら遠くのほうで人が滑落していたりだとか、上のほうからものすごい勢いでおじさんが落っこちてきて横を通り過ぎていったりとか。結構ありますよ。 |
M・T | えーーおじさんが落っこちてきたんですか!!!そのおじさんはどうなったんですか? |
Sさん | 少しはなれたところをすごい勢いで落ちて来ていました。かなりの距離は落ちてましたが、生きてはいたようです。 |
M・T | そうですか。それは良かったですね。 |
Sさん | 滑落すると、岩とかに激突して骨折したり、最悪激突死します。富士山の上の方は氷ですけど、綺麗な氷ではなくて所々岩が出ています。滑落すると、ピンボールみたいにボンッ!ボンッ!と激突しながら落ちていきます。 |
M・T | うわっ(^_^;) |
Sさん | 滑落中に骨に当たれば折れますし、背骨に当たればそれで終わりですし、頭に当たれば即死です。そういうのを滑落死というのですが、ほとんどが滑落中に亡くなります。基本的にアイゼンが刺さらないような氷の斜面では、ピッケルも刺さらないですから。ヘルメットもこけた衝撃でハーネスごと切れてしまうこともあります。 |
M・T | 冬富士はヤバイですね。 |
Sさん | 厳冬期の冬富士が、七大大陸最高峰(マッキンリー、キリマンジャロなど)の夏の気候が安定した時期より技術レベル難しいと言ったのはそういう背景があるからです。 |
M・T | ・・・。 |
Sさん | 冬富士を登るには、突風に耐えられないといけないですし(耐えても体が浮いて飛ぶときもありますが)、滑落事故は上りよりも下りで起きます。上りはまだ元気ですし、気を張っています。しかし、下るときは疲労もありますし、そもそも氷の斜面を下るのは上りの倍以上難易度が高いです。下りの滑落は、しりもちついてそのままザーー!っと落ちる感じです。 |
M・T | こわいですね。 |
Sさん | 一瞬の油断が命取りです。 |
※※※猛スピードで滑落する60歳男性(衝撃映像です・・・)※※※ (撮影:アメリカ海兵、事故発生日:2011/12/10)
|
冬富士登山ならでは準備
M・T | 冬富士ならではの準備はありますか? |
Sさん | アイゼンとピッケルの歯はやすりで研ぎますね。じゃないと刺さらないですからね。まあ、研いでも刺さらないんですが、願掛けみたいなもんです。 |
M・T | 他には何かありますか? |
Sさん | それと水と食料ですね。水は2リットルは持っていきます。とにかく寒いので、自分自身で熱エネルギーを作り出すしかありませんから、お菓子もいっぱい持っていきます。避難小屋の影や石垣で風があたりにくい場所で食べたりします。 |
M・T | 2リットルの水はすべて魔法瓶に入れるんですか? |
Sさん | いいえ、魔法瓶とボトルに入れてもって行きます。水筒に入れたのは凍ってしまうので、お湯をたしてバーナーで溶かします。熱湯を魔法瓶に1リットル、残り1リットルは普通の水筒にいれます。私の場合は行動中は1リットルでだいたいたりますので、残り1リットルは予備です。 |
M・T | そうなると、バーナーはもって行くんですね。 |
Sさん | バーナー(ガス缶はプロパン)は必ずもって行きます。ただ、風が強いので使うときにはツェルトをかぶって使います。あぐらかくなり体育座りするなりして、股の間でバーナーを使います。ついでに暖もとれますしね。 |
M・T | 因みにツェルトは何使っているんですか? |
Sさん | 私はアライテントのツェルトですね。まあ、ツェルトなら何でも良いと思うのですが、冬富士登山の場合は、あまり大きいのは風でバタついて保温効果が低下するので、小さくコンパクトにたためる アライテント ビバーク・ツェルトスーパーライト がいいかもしれません。ツェルトは冬富士では必須の持ち物ですが、夏の富士登山でも必要だと思います。 |
M・T | 夏の富士登山でもツェルトは必須ですか? |
Sさん | 夏でも必須ですね。ツェルトに包まるだけでぜんぜん違いますから。極端な話、夏ならツェルトかぶっていればその辺でゴロンとなって寝れますから。女性なら中で着替えとかもできるでしょうし。 |
M・T | たしかに、特に山頂でご来光を見る人にはあった方がいいですよね。因みにザックは何リットルですか? |
Sさん | 35リットルですね。あまり重いのは負担なので、それで十分です。 |
冬富士登山中の行動食・休憩
M・T | 登山中は何を食べてるんですか? |
Sさん | だいたい羊羹を食べてますね。あと、登山中はほとんど休憩しません。 |
なぜ、冬富士に登るのですか
M・T | とても根本的な質問で、もしかしたら愚問かもしれませんが、なぜ厳冬期の冬富士に登るのですか? |
Sさん | それは楽しいからですよ。登るの面白いですね。 |
M・T | そんな危ないのに楽しいんですか? |
Sさん | 変な言い方かもしれないですけど、死ぬか生きるかの境界線はすごく面白いんですよ。ここで転んだら死ぬな、とか突風で弾き飛ばされて滑落しそうになって助かったときなんて、僕はめっちゃ笑顔になってますよ(^-^) ヤベー(^-^)みたいな感じで。あとまあ、完全に実力で登れるか登れないかなので、登れると自分に自身が持てますよね。 |
M・T | たしかに、それだけ冬富士は危険で難しいですからね。 |
Sさん | ある程度、道具だ服装だってありますけど、結局、自分の足で歩いて自分の技量でどうにかするんで、明確に自分がどれくらいできるかわかるのが面白いですね。 |
M・T | そうなんですね。 |
Sさん | 調子に乗ると失敗するんですけどね。自然には勝てませんから。どんなに万全に準備しても、天候が悪ければ失敗しますから。調子に乗らない程度に調子に乗るとちょうどいいですね。 |
M・T | えっ!? |
Sさん | 謙虚に調子に乗るってことですね。はっはっはっ。引き際を間違えなければ、無茶していいみたいな。まあ、引き際の判断が難しいんですけどね。かといって、謙虚すぎても前進できませんから。 |
M・T | 確かに、引き際が難しそうですね。せっかく着たからには登頂したいという思いもある中で下山するというのはとても勇気がいることだと思いますし、私自身も冬山登山者としてそうありたいと強く思います。
今日は本当に厳冬期の冬富士登山に体験談を聞かせていただきありがとうございました。きっと、今日お話頂いた内容は冬富士に関心のある方が賢明なる判断をする上で非常に役立つと思います。Sさんが今後も無事に登山を楽しめるよう心より願っています。 |
お役立ち映像 イッテQ!内村が真冬の富士山に挑む
2009年12月08日にウッチャンナンチャンの内村さんが、多数のガイドのサポートを受けて富士山の富士吉田ルートから2泊3日の行程で無事登頂しました。
動画はこちら ⇒ http://www.tudou.com/programs/view/Uvnq2vVqQaI
(冬富士登山の映像は110分ごろから始まります)
無事に登頂できて、よかったですね。(まあ、最後の方は先行するガイドにロープで引っ張られていますが。。。)
あと、内村さんが着ているウェアーとザックとテントがモンベルのでしたね。
このTVの登山の約1週間後、元F1ドライバーの片山右京さんを含むパーティーが遭難し、2名の方が亡くなられました。
ご報告
2012/05/24に、当サイト管理人が積雪期の富士山を無事登頂することができました。
8合目付近 ( 2012/05/24 07:09 )
九合目の山小屋に到着! ( 2012/05/24 7:21 ) 撮影者(登山ガイド野中径隆)
雪に埋まった富士山頂上浅間大社奥宮 付近から ( 2012/05/24 09:53 )
夏の富士登山に何度も挑戦し、冬の高山で雪上訓練、雪山の登山技術の向上に励み友人と共に3度目の挑戦で無事登頂できました!
本当にうれしくて、雪山の中でも難易度の高い、ある意味命がけの積雪期の富士山登山の経験と山頂で撮影した写真は、私の人生の宝です。
ただ、当日に富士山頂付近で外国人の遭難者に会い、また友人の支持のもとで救助活動をおこないました。
初めての遭難者救助だったことと、救助者の命がかかっていること、そもそも少なからず自分の命を危険にさらす行為でもあったため、数時間にわたり非常に強い緊張感をしいられました。
遭難者を新7合目の山小屋前で無事に山岳救助隊に引き渡したときは、本当に安心しました。
そして、下山後の疲労感は今も忘れられません。
ただ、その数日後にわかったことですが、行方不明となっていた遭難者の仲間が滑落死していたことは、なんともいえない、とても苦い記憶となっています。
天候にもよりますが、積雪期の富士登山は本当に危険です。
死が近いです。
もし、このページをみて冬富士に挑戦したいと考えている方がいましたら、ぜひ、このページを何度も読み返すと同時に、こちらの登山記録にも目を通していただきたいと思います。
多くの方々が、事故なく安全に登山を楽しめることを願って・・・
M・T
装備・持ち物リスト
10年以上の登山経験を元に作成しました。安全・快適な登山の参考になれば幸いです。
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