富士登山@2025年(令和7年度)
2025/06/09更新
荷物を片付けて、車で御殿場市内まで移動し、一緒に食事をとっていた時のこと・・・
野中さんの携帯電話に警察から電話がかかってきました。
「もう1人の外国人は知りませんか?」
最初、何のこと言っているのかさっぱりわかりませんでした。
私たちが救助した遭難者は、Sさんの通訳で「仲間と2人で登山し、途中で別れて自分だけ登ってきた。」と言っていたことは知っていました。
ただ、私たちはてっきりアイゼンが必要になる、もっと麓のほうで(六合目とか)で別れたのだと勝手に思い込んでいました。
続けて警察の方が
「どうやら九合目まで一緒だったようです。」
・・・その言葉を聞いて、私も野中さんも言葉を失いました。
確かに、五合目には救助した遭難者の外国人しかいませんでした。
深夜に軽装2人が富士山九合目まで登り、そこで一人は山頂へ。別れたもう一人は・・・まだ確定ではありませんが下山しようとして滑落したと考えるのが妥当でしょう。
野中さんも私も、何とも言えない重い気持ちになりました。
「生きている人は助けることができるかもしれないが、死んだ人は助けられない。」
野中さんの言葉が心にしみました。
■登山ルート(GPSデータより)
■今回の感想
最終的に残念な結末となった登山でした。
私も野中さんも、おそらく第一発見者のSさんも心に深い影を落としていることでしょう。
ただ、我々がやれることは精一杯できたように思います。
第一発見者のSさんが献身的に救助活動をサポートする姿には感動しました。
この稀な好天の中、遭難者を発見してしまったがために、結局、剣ヶ峰までいけませんでした。
ご自身の中で、いろいろと葛藤があったようですが、最終的に「人を助ける」道を選ばれたのですから。
★Sさんの書かれた記事はこちら ⇒ ヤマレコ
そして、登山ガイドの野中さん。
プライベートの登山にもかかわらず、ツェルトはもちろんのこと、補助ロープまで携帯しているとは、ただただ感動しました。
遭難者が無事に下山できたのは、間違いなく野中さんのおかげです。
なぜなら、私も含めて一般登山者は登山技術は持っていても救助技術はほとんどもっていないからです。
野中さんの的確な判断、そして知識と技術、姿勢含めてこの方は根っからのプロの登山ガイドだと感じました。
★野中さんの今回の遭難事故に関する記事はこちら ⇒ ブログ ツイッター
そして最後に無事に救助されたチェコ人の方へ。
あなたは、非常に危険な状況のおいてかなり運が良かった。
まず、英語をスラスラと話せるSさんに発見されたこと。
続いて、プロの登山ガイドの野中さんに発見されたこと。
軽装備で、傾斜の強く危険な山頂へ二人で向かったにもかかわらず、生き残ったのはあなたでした。
深い後悔と悲しみを背負うことになるかもしれませんが、奇跡的に生き残った命をこれからも大切にして生きていただきたいと願っています。
■2012/06/12 追記
その後、消息不明となっていたエクアドル人遭難者がどうなったのか気になってニュースをこまめにチェックしていたのですが、どうやら発見されたようです。
遺族のことを考えると、心が痛みます。
悲しい遭難事故となりましたが、遺体が発見されたことが唯一の救いかもしれません。
・当サイトの「チェコ人・スロバキア人登山者の遭難・救助」関連ページ一覧
- 1ページ目 「チェコ人・スロバキア人の富士山遭難事故」
- 2ページ目 「真っ暗闇の積雪期夜行登山」
- 3ページ目 「日差しを浴びて快調に登る!」
- 4ページ目 「九合五尺付近で滑落しそうな遭難者を発見・救助」
- 5ページ目 「Sさんと富士宮の山頂へ」
- 6ページ目 「チェコ人遭難者と共に下山・救助隊と合流」
- 7ページ目 「予想外の悲しい結末」
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