2023年の富士登山の一つの目標は、「登山中に定期的にパルスオキシメーターで酸素飽和度「SpO2」を測定する」ことでした。

高山病対策としてパルスオキシメーターによる動脈血酸素飽和度「SpO2(エスエーオーツー)」)の測定により「ヘモグロビンが肺にある酸素を血液中にどれだけ取り込んで体に運べているか」を知ることができ、自分自身の高度順応の状況を数値で確認することができます。

2023年7月に富士山の須走ルートを登った時、各標高(五合目~山頂)で測定しました。
富士山頂でパルスオキシメーターを使い血酸素飽和度を測定
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パルスオキシメーターは借りました
今回、パルスオキシメーター(メディパルエース MD300C1E)は親戚に借りました。コロナ以前に購入したパルスオキシメーターとのことで、コロナ以降は様々なパルスオキシメーターが出て測定精度が大丈夫?みたいなのも中にはあるようですが、これはそれ以前のもので、測定精度がそれなりにあるのでは?と思って今回これを持っていきました。

測定した場所 | 2023年 須走ルート 「SpO2」測定値[%] | |
---|---|---|
平地 | 98% | |
五合目 (登山口) | 94% | |
六合目 | 93% | |
七合目 | 91% | |
八合目 | 89% | |
九合目 | 91% | |
富士山 頂上 | 87% | |
※備考 | ・測定器名 メディパルエース MD300C1E |
補足
血酸素飽和度「SpO2」98%は、このパルスオキシメーターを使った時の私の下界での標準値です。

八合目から息苦しさが感じられるようになりましたが、数値が90%前後だったので、納得でした。
感想
ディスプレイが見にくい
今回借りたパルスオキシメーターは、強烈な太陽光が降り注ぐ富士山ではディスプレイの 輝度が足りなく、かなり見にくかったです。
直射日光が当たっていると、上の写真のように数値を読み取るのが難しいため、建物の日陰に入るなど薄暗い場所で確認する必要がありました。また、今回記録するために写真撮影しましたが、上記では読み取りにくく、シャッタスピードがオートだとシャッタースピードが早すぎて表示された数値をちゃんと撮ることができずませんでした。そこで、薄暗い環境の場所でマニュアルモードで、シャッタースピードを遅くして撮影したりして、結構手間かかりました。

富士登山でパルスオキシメーター使うなら、ディスプレイ輝度が高いものか、文字が大きいなど野外測定に強いものが良いと感じました。
測定できないことがあった
八合目~山頂間で、指先が少し冷えてた時に測定できませんでした。パルスオキシメーターの使い方を事前に調べる中で、「指先の血流が少なくなると測定できなくなる」ことを知っていたので、体や指先が温まってから測定し直したら数値がでました。

富士山は山頂に近づくと気温がぐっと下がり、指先が冷えやすいです。手をポケットに入れて温めるなどの血流を増やす等やってみてください。
ロウソクを消す呼吸法をすると数値が上がる!
今回、非常に驚いたのが山岳医の大城医師が紹介されている「ロウソクの火をフーっと吹き消すような呼吸法」です。

酸素飽和度「SpO2」が下がってきた標高で、パルスオキシメーターで測定したまま「ロウソクの火をフーっと吹き消すような呼吸法」を実践したところ、数値が徐々に上がっていって驚きました!
フーーー、フーーーー、と1分間くらいゆっくり呼吸するだけで、数値が少しずつ上って行きました。僅かな時間、この呼吸法を実践するだけでパルスオキシメーターの数値が3~4%ぐらい上がったため、その効果に驚きました。その後、登山途中で息苦しくなってきた時、歩行ペースを少し落とし、この呼吸法を実践し、苦しい思いをほとんどすることなく山頂まで登り切ることができました!

下記、動画に呼吸法が紹介されていますので、ぜひ富士登山中に実践してみてください!

富士山・富士宮ルートの八合目の標高3250mにある診療所「富士山衛生センター」の医療現場の動画が2022年にYoutubeに公開されています。「ロウソクの火を吹き消すような呼吸法(6:47)」も紹介されており、ぜひ、一度視聴してみてください!
【富士山 標高3250m「雲の上の診療所」女性医師 厳しい環境の中で24時間、登山者と向き合う緊迫の医療現場に密着】(動画時間 13:41)
富士山・富士宮登山道8合目、標高3250mにある診療所「富士山衛生センター」。日本一高い場所にある診療所で働く「女性医師」は、エベレスト登頂も果たした 一流の登山家です。酸素の薄い過酷な環境、限られた医療器具による治療、そして、女性医師の夢とは…。コロナによる“行動制限のない夏”登山者の増加で山岳救助の件数も増加する「富士山の今」を追いました。(情報ライブ ミヤネ屋 2022年8月25日放送)
最後に
今までの高山病対策では、心拍状況や体感で自分自身の状態を把握していました。今回パルスオキシメーターの数値で確認することができ、曖昧さが無いため、高山病対策としてとても役立ちました。
初めての富士登山の方、子連れの方、高齢な方、グループで登山される方は、グループに1個だけでもパルスオキシメーターがあれば、未然に高山病を防げるのでは無いかと思いました。
今回の体験レポートを踏まえ、当サイトの高山病対策のページもリニューアルします。富士登山の高山病対策は別ページにまとめています。
概要
登山日
その他
装備・持ち物リスト

10年以上の登山経験を元に作成しました。安全・快適な登山の参考になれば幸いです。
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